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第1講 株式投資の心構え

目次

リスクを覚悟せよ

 株式投資だけでなく、債券、通貨、金などの国際商品、不動産などの投資も一般に良く知られている。最近では競走馬の投資なども流行っている。一人ではなかなか馬主になれないが、何人かが資金を寄せ集まって共同馬主になろうというものだ。順調に育ってオープン馬までになれば・・・という夢に賭けている。そのほか、美術品、絵画、宝飾、切手など趣味を通じて投資に発展するケースもみられる。

 どの投資も余剰資金を効率的に運用し、資金を膨らませようという試みといえよう。しかし、必ずしも投資した資金が確実に戻ってくる保証はなく、常に、リスクがつきまとう。その辺りを理解せずに、必ず元本が返ってくる元本保証(2005年4月1日スタートのペイオフ時代では保証の限りでもない)の貯金や預金と同じと間違っている方もおられる。投資信託が銀行で発売された1998年、銀行は「元本は保証されません」と再三再四にわたってPRしたものだが、「銀行が販売するものは堅実」と錯覚して預金を下ろして投信を積極的に買った方もおられたようだ。たまたま、銀行が本格発売に乗り出した1999年にはIT(情報通信)銘柄を中心にハイテク株が大相場に発展し、それを組み入れた投信の価格も大幅に上昇するという珍事?が起きて、倍になった。そんなに儲かるものならば、もっと買おうということになり、2000年に募集した大型投信には大金をつぎ込んだ人も多い。ところが、世の中そんなに甘くない。大型ファンドは募集時点の価格を一度も上回ることがなく、その後、半値以下の水準まで落ちた。解約すれば大きな損になり、そこで初めて投信は元本保証ではないことを知ることになるのだが、後の祭り。

どうして、そんなに急落したのかだが、投信が組み入れた株式の中でソフトバンク、NEC、富士通などのIT関連(情報通信銘柄)銘柄がパソコン、携帯電話の需要一巡後に2000年春以降急落を続けていることが理由である。例えば、富士通は2000年に5030円の高値をつけたが、その後一貫して下落を続け、03年4月には300円の安値をつけている。その後、ようやく戻りはじめたものの、2000年の高値にははるかに及ばない。そういう銘柄を主体に組み入れた投信だから、当然、急落する。

銀行が販売する投信といえども、元本割れがあることをイヤというほど思い知らされたであろう。解約さえしなければ、株価が大きく戻れば投信も回復する。そのため、ただ、ひたすら持続して待っているのが投資家の現状である。

 投信は自分で運用せず

に、専門家が運用する。しかし、こんなに大損するくらいならば、自分で株式を運用して失敗した方がまだ、納得がいく。その通りである。ところが、株式投資の経験がない方にはどうにも勇気がない。そこで、証券会社に行っていろいろ聞いて株式投資をするのだが、なかなか、頭に入らない。結果、「どの銘柄を買えばよいのか」という銘柄だけを聞いて株式投資をすることになる。それがいけない。状況に応じて株式は選択をするものである。株式は上がったり、下がったりするにはその背景がある。それを知らないで、証券マンの言いなりの銘柄だけを売り買いしては良い成果が上がらない。もちろん、よく勉強している証券マンに当たればラッキーだが、稀である。そういう失敗をしないためにはどうすればよいのか、それをこの投資講座を通じて学んで頂ければ、リスクが多少とも軽減されると考えているのである。

そもそも「株式」というものは何か?その辺りから知るべきであろう。株式が初めて発行されたのは17世紀初頭とされる。東インド株式会社の株式が最初とされている。インドネシアなどアジアから香料、繊維原料などの商品を買い付けて長い航海を経て英国まで持ち運ぶことを目的に設立された。当然、長い航海であり、当時の船では大変大きなリスクを負う。嵐、海賊と戦って航海が無事終われば、大きな利益が得られるが、失敗すれば何もかも失う大変なリスクだ。大勢の投資家を集めて設立すれば、リスク負担も軽い。このように株式会社は個々の投資リスクを小さくしながら、同時に大きな資金を集められることから生まれた会社制度である。したがって、株式投資することは元々リスクがついて回るものだと理解しなければならないのである。そのほかの投資と呼ばれるものも同じで投資リスクは常について回るものだと理解した上で臨むことを決して忘れてはならない。しかし、リスクもあるが、投資した会社が順調に業績を伸ばしていけば、投資成果は得られる。100万円の投資資金でもうまく投資を続けていけば、10倍以上になることは決して夢でも何でもない。宝くじなどよりもはるかに現実的なことである。

 「損することは数え切れないほどしたが、そんな経験をしたことがない」とほとんどの投資家の方々はおっしゃる。それはなぜだろうか?株式投資についてのそれまでの姿勢に問題があったからだと私は思う。

 株式投資の経験のある方は主に40歳以上でその大半を占めている。それ以下の年齢では子育てのための教育費、住宅ローン、生活資金に追われて収入に余裕がなく、貯金すらままにならないのが実情で投資に回すことが事実上難しい。それでも競馬やパチンコなど月数万円は使っているはずだが、株式投資には回さない。現在ではその気になれば2万円程度でも株式は買える。パチンコのほうが時には入れ込んで10万円以上つぎ込むこともあるくらい高くつく。競馬も同じことだ。そういう意味では株式投資をする気になれば、20歳代から十分に可能といえる。そういう事情をほとんどの若者が知らないで、株式投資は金持ちがするものとの先入観をもっている。

 手軽にできるものなのに、大勢の方々は資金に余裕ができて初めて株式投資に興味を示すものだと思っている。その年齢が40歳代以上になってからということになる。したがって、しばしば耳にする個人の金融資産約1,400兆円は50歳以上で70%を占めるという結果になっているのである。ところが、この資産の中で株式の保有比率はわずかに5~6%で90兆円にすぎない。欧米の6分の1以下である。仮にも世界第二位のGDPを誇る国で資本主義の日本の国民が株式保有がその程度の保有に止まっているのは異常という以外にない。

 なぜ、そのようになったのか。これは戦後の企業の資金調達方法やそれを指導する政府に大いに問題があったためである。その経緯は第二講で順を追って説明していくので、それ以外の問題点をこの講座では指摘していく。

教育に問題あり

教育に問題があったことも一因。そもそも、義務教育では株式投資は絶対に教えない。サラッと制度を教えるだけである。大学でも証券投資論の講座は商学部、経済学部に必ずあるとはいえない。あっても、内容は投資法則や理論ばかりで教えられて頭が痛くなるだけで、学生は「単位が取れればいいや」という程度。興味が湧かないためにそこから前進しない。実際に、どのような戦略で株式投資をすればよいのか?というところまで踏み込んでいない。

それでは証券会社はどうか。投資家のために投資のイロハを教える場合もあるが、それは教えるのではなくて、洗脳が目的である。その時々の有利な金融商品を投資家のためと称して説明するのだが、実際は自社の有利な商品販売をするために理屈をこねているだけであり、結果として、投資家の資金をいかにして奪おうかということに重点を置いているといわれても仕方のない面がある。株式投資の説明会でも「どうすれば勝てるか」についての戦略説明はない。やさしい株式教室などを時々、開いているが、商品説明や仕組みの説明が主である。一番知りたい投資戦略はない。要するに投資家の資金をいかに吸い上げるのかが目的になっている。

営業マン自身は銘柄コード番号を知っているだけで、その内容の知識はくわしくはない。ましてや、株の戦略などというものは全くもっていないといってよいだろう。聞くほうが無理なのである。それでは、インテリ集団というアナリストはどうだろうか。しばしばレーティング1とか、2とかのレポートを出して相場に影響を与えているように見えるために、彼らのレポートをありがたく拝見する投資家も多い。アナリストは担当銘柄の財務分析や事業内容についてはよく知っているが、相場の流れを特に、意識してレポートをだしているわけではない。また、現状分析にこだわるために、現在の状況が悪ければ、レーティングを3とか、4のように売り推奨する。今は悪くても、来期から業績が急好転するというような場合でも、依然、売り推奨している場合もみられる。株価は大きく下げた後で反転の兆しが見え出しているときにそういう売り判断をするケースも結構みられる。逆に、そういう場合にはレーティングは大胆に1にアップすることを考えなくてはならない。それが残念ながらできない。

その典型例は2001年の米国での9月のテロ事件直後の半導体や電子部品の相場である。どの関連メーカーもその期の見通しは業績悪化が見込まれており、テロ事件まで株価の下落が続いていた。ところが、テロ事件で大きく売られた後に、その関連銘柄が急反騰し、12月まで上昇し続ける。そのときのアナリストは業績悪を理由に引き続き売り推奨をしていた。しかし、実際には受注状況が底入れしたおり、最悪期を脱出していため、回復を予想した反騰相場に入ったことを理解できなかったのだ。つまり、アナリストは株式投資で一番、重要な先行きの見通しが苦手ということになり、買い時を売り時とスカタンな判断をする習性がある。あくまでも、アナリストのレポートは財務分析と事業内容を知りたいときだけに利用することに限る。

このように、学校はもちろん、証券会社も教えているようで教えていない。それでは、街の投資顧問業はどうだろうか。月何万円も支払って、「有望銘柄を教えます」などと勧誘している。それを信じて会員になれば、どうか。わけの分からない仕手株を紹介されて、買わされるのが落ちで、それっきり面倒をみてくれないこともある。「どうすればよいのか」と尋ねてみれば、後、「10万円だせば、特選銘柄を教えます」などといわれる。銘柄を言うのは良いが、後は、聞くたびにお金を要求されて、ズルズルとひきづり込まれる。その結果、推奨された銘柄で大損させられ、挙句のはてにいつの間にか顧問料は100万円以上も取られてダブル損になる。要するに銘柄の判断ができないのに高い会員料だけを狙うだけ投資顧問である。そういう投資顧問で引っかかった投資家は案外多い。もちろん、そんな投資顧問だけでなく、まじめに、銘柄を教えて指導をするところもあるが、丁寧に戦略を教えるところは小数派である。

株式投資は悪の認識

とっくに100年以上の歴史を刻み込む株式市場が存在しながら、株式投資に関する銘柄の選択方法、戦略などの実践向けの指導や教育を投資家のために行っているところが事実上ないのが現状である。

何年たっても「あれを買え」「これを売れ」の繰り返しが証券界と投資家の関係である。そういう状態にしたの

政府にも問題がある。株式投資は「悪だ」という基本的な姿勢から抜け出せないためである。株式投資によって得られる収入は「楽して儲けた不労所得」とレッテルを貼っているところに問題がある。極端に言えば、濡れ手に粟と決め付けているところにある。そのため、投資家を育成するようなことを全く考えないで、いかにして、税金や規制によって、投資家を縛ろうかということを考えているのである。

 株式投資が不労所得などというのは株式投資を知らない人がいうものだ。成果を得られるようにするために、必死になって考え、情報を集めて、ストレスが溜まるほどの決断をしても、勝てるかどうかわからないのである。貯金などは確実に金利が読める。何も、考えることはない。そういう所得と同じように税率を決めようとしている。株式投資はエネルギーを消耗しても儲かるかどうか分からない非常に難しいものなのである。不労所得と思うならば、官僚の方々は一年間、自由に株式投資をしてみて、大いに儲かったのであれば、そのように決め付けてもよいだろう。自ら体験もしないで、投資は悪だと一方的に結論づけている。大いに問題である。

政治家の資産公開が常識になったが、株式を大量にもっている政治家は「これは親から引き継いだものだ」とか、「知人からもってほしいといわれたから」などと持つことに胸を張った発言がまったくない。マスコミも株式を保有することには何か悪いことをしているような論調で政治家をいじめる。全く、正当な資金で株式を保有するならば、周りがそれを論じること自体おかしいのである。日本は資本主義国家ということを知らないのではないかと疑いたくなる。(現実には官僚社会主義国家?)

 株式は金持ちがするものという偏見がその裏には潜んでいる。それ自体、認識不足である。株式投資はいまでは先ほど指摘したように、パチンコや競馬と同じくらいの資金で所有できるのである。むしろ、パチンコや競馬よりも健全性がはるかに高い。競馬などはわずか2分たらずで賭けたお金が消えてしまう。株式は倒産がない限り消えることはない。もっていれは、配当があり、分割があり、時には、株主優待もある。それが10万円足らずでもつことができる。極端な場合には1万円以下でも買える。パチンコや競馬をする政治家を批判しないで、株式を持つことを批判するのは全く、お門違いもはなはだしいのである。

 政府はそのような認識違いを本腰を入れて、投資家を大切にし、国民全員が投資家になるように啓蒙運動をすべきではないか。また、その時期にきたのではないか。不良債権処理で株式を売り続ける金融機関に対して、国民全員に株式を持たせる積極策を講じておけば、何も、日銀が買い取りをしなくても済んだはずだ。投資家育成は永遠のテーマとして取り組む姿勢をするならば、投資家が株式投資に臨む際にどこへ行けば教育が受けられるかなどということで迷うこともなくなるのではないか。ましてや、いつまでたっても、株式投資で成果を挙げられないというようなことも少なくなると思うのである。

 さて、この国では株式投資をしようにも、どこへいってもまともに投資家のためにという姿勢が見られないということがお分かり頂けたと思う。それはともかく、まず、どんな投資でもリスクなしではできないことを知った上で株式に投資することを肝に銘じて頂いてほしい。

自慢話せず、他人の責任にせず

株式投資をする上での心構えは、それに加えて、もうひとつ。勝っても負けても自分の責任だということを常に忘れないこと。それに派生して勝ったときに自慢を他人にしないこと。自己責任は証券会社でも言われることで分かっているつもりだろうが、人間は悲しいもので都合の悪いことは他人の責任にしたがる。良いことは自分の手柄にしたがる。他人の金で株式投資をするなら、その気持ちも理解できないことはないが、株式投資はあくまでも自分の資金でしているはずだ。銘柄を聞いて、それを買った結果、不幸にも下落し、損をした場合には「あんたの銘柄で損をした」とグチをいう。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        リスクを背負うのは自分であることを忘れてはいけない。逆に、儲かっても過大に自慢してもいけない。ささやかな喜びを自分をよく知る人に語るだけで、止めておくべきである。他人は人の失敗を喜び、他人の成功はねたむものである。悲しいかなそれが現実である。儲け話はやっかみと嫉妬を買うだけだ。小さな利益ならば、あまり、吹聴することもないだろうが、たまに、大きな利益を得たときには声高で言いたくなるが、決して、それを言いふらしてはならない。足を引っ張られるだけだ。 損をしても、利益がでても常に、同じという心構えを是非もって株式投資をしてほしい

 バブル全盛期には初めて株式投資をした人でも儲けることができた。いろんなところで「あれで儲けた」とか「これでいくら儲かった」の話を聞かされたものだ。全国でそういう話がされるものだから、官僚にとってはおもしろくない。自分よりも能力の劣る国民が年収の何倍も儲けた話を聞かされると何とかしてやろうということになる。そして、やったことが公務員給与の引き上げと株式市場と不動産取引の規制である。そして、今日、公務員給与はバブル時のそのまま続いて民間との年収の差が150万円以上もつき、退職金に至っては1000万円以上も高くなったのである。700兆円以上も赤字の財政にある倒産状態にもかかわらずである。その差はドンドンと開くばかりである。小泉内閣は改革、改革と国民に痛みをお願いするが、公務員改革を先にしなくてはならないはずだ。公務員の人員削減、給与カットを断行し、財政建て直しの先鋒とするべきであろう。デフレに追い込んだ責任は官僚にあるはずだ。その張本人が責任をとらないのは非常に大きな問題である。痛みも国民だけに押し付けるだけでなく、公務員にも責任分担すべきである。年金問題で特に、指摘すべきであろう。公務員天国の実情を知るとついついこの問題を糾弾したくなる。

 さて、バブル時の自慢話が原因になって官僚の怒りが爆発したというものではないが、それと無縁なことでもない。このように自慢話は絶対にしてはいけない。もっとも、現在の株式相場では自慢話をしたくてもできない状態であるが・・・。

 この講座は有望銘柄を聞く講座ではない。有望銘柄を発掘する方法や戦略を学ぶ講座である。もちろん、現在の相場展開の中では参考としてこういう銘柄が活躍するかも知れないというようなことは紹介する。それは銘柄発掘を学ぶ上での実例としてである。

 まず、講座のはじめに心構えをいろいろ説明したが、それを納得した上で講座を進めていく。第二講以降は皆さんが過去、投資を続けてきて、なぜ成果を得られなかったのかについて、問題点を指摘していくと同時に、改善する方法を順を追って進めていき、更に、投資成果が上がる運用の方法について語っていく。これまで、どこへ行っても学べなかった投資のノウハウを知ることによって、この講座を聞いてよかったと必ず思えるように進めていきたい。(第一講終わり)

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