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第13講 投資戦略4 買いサインのチャート

目次

チャートは何をみる

 ここで説明をするチャートとはロウソク足で毎日、記録した日足をみて買いのサインが現れた場合に、とりあえず、買ってみる。日足を使う理由はその日だけの動きを記録するために、その時々の強弱を正確に表している。週足、月足などは何日間の動きをまとめてひとつのチャートに記録されるために、必ずしも、正しい判断がしづらく、即効性に欠ける。中期的な傾向としてみる以外にない。「今日、買い線が出た」と判断すれば、翌日に行動できる。週足だと月曜日にならなければ行動が取れない。日々の動きで的確に売り、買いができるのは日足を置いてほかにない。半日足などいうものがあるが、そこまで、追求すれば切りがない。もちろん、株価だけの記録だけでなく、出来高も丹念に記録していなくてはならない。出来高は人気のバロメーターであり、出来高が少ない時に買いのサインが表れた場合よりも多い場合のほうがより信憑性が高い。出来高を必ず、記録することによって精度が高められることをよく知っておくことが大事だ。

 日足を重視するのはもともと、このチャートの始まりが週というものがなかった江戸時代の米相場の動きを記録したことと関係する。毎日の動きを研究して、これが出れば買い、売りという判断をしたのである。したがって、日足によってチャートは判断すべきと考える。

 日足であるが故に、買い信号は短期勝負になる。売りのサインがでても、悲観することがない。売りはせいぜい一週間で終わり、次には買いのサインがでる場合も多い。短期勝負に向いているのである。

 買いとみられるサインはいくつもある。必ずしも買いとはいえないケースも多々あり、いちいちそれに従って買いを続けているとお金はいくらあっても足りない。そこで、買いサインの中からポピュラーに良くチャート上に現れ、しかも、比較的確立の高いサインを10パターンを選んで説明することにした。


図10

 チャートの見方を図10に表してみた。陰線、陽線によって組み合わされたものがローソク足のため、始値、高値、安値、終値の4つの株価によって構成される。時には4つの株価が同じ場合や、始値、終値が同じものなどもある。それらもローソク足として記録されていく。その集合体の具合によって、買いのパターンがいくつか表れていく。その中から比較的その後の上昇率の高いパターンから順番に説明していく。

カブセを一気に抜く

このチャートの形がでた場合には積極的に買いにでてもかなりの確率で勝利できる。

図11がそのパターン。上昇した後に、大陰線によってカブセる形で大陽線に襲い掛かり、それまでの相場は終わったと思わせる。そして、しばらく調整に入り、下落展開になる。ところが、その後、改めて上値を取り始め、このカブセの水準まで戻した後に、一気に大陽線によって、カブセを突破する。それまでの展開がカブセをとるパターンとなる。非常に強いチャートでその後の展開はほぼ100%上昇している。15%程度の値幅ならば一週間以内で勝利が可能である。実例をみてみよう。

図12のNECは6月にカブセがでて、一旦、反落する。しかし、6月末には一気に、それを抜いてからはアッという間に800円台まで突っ走る。このように抜ければ、ハンパでない上げが期待できるのが、カブセを一気に抜くチャートの醍醐味である。これは本来、大陰線のカブセが現れることは売りサインになる。それを一気に覆す買いのパワーが現れたことは相当強い腰の入った買いが現れたことになる。それゆえ、売りが逆に買い転換しなければならないのだ。同じようなパターンは03年の7月に日本精工、JFEにも表れており、その後の相場で大きく値上がりしている。私はカブセを一気に抜くチャートが買いサインの中では最強ではないかと思っている。なかなか、そうはいうものの、簡単には買いを実行できないが、もしもしのときのために、期待はずれになった場合には損きりする下値の目標をあらかじめ決めていけば、悩むことはない。すでに、目標設定をしてから相場に臨めとは何回も指摘しているはずだ。

上値遊び

上値遊びは図13のようにある程度上昇し、大きな陽線がでた後にその陽線

の中で小さな陰線、陽線が混じって6~12本続く。そして、大陽線を突破する新たな陽線が現れた状態を上値遊びという。筆者は自分が記録をつけている120銘柄の中で過去2年間(03年7月まで)の上値遊びのものを調べてみると12パターンがあった。その後、1か月以内にすべてが上昇しでいる。最低10%幅で最大100%幅(つまり、2倍)であった。「上値遊びは大相場の前兆なり」と古来からいわれているのは的外れではない。

 14は合同製鐵の典型的な上値遊びのチャートである。今年5月に現れたものだ。その伏線は決算発表によって、今期の業績が前期の2倍半になると予想がでて86円から103円まで急騰した。その翌日も引け値111円と続伸した。それから6本小さく動き、7本目から113円と111円の終値を抜いて上値遊びを突破する展開になった。それ以後、ほぼ一貫して上昇トレンドを続け、7月には270円を越すまで買われた。

 このほかでも上値遊びから抜け出すと大相場に発展したケースがいくつかみられる。遊びの小さな動きが少ないよりも、7~10本程度のものが後の相場が大きいケースがしばしばみられる。これは遊んでいる間にエネルギーが蓄えられ、一気に爆発することが要因として考えられる。しかも、比較的相場が若い時期ほど上値遊びは相場を大きくする。したがって、このパターンがチャート上で現れた場合にはとりあえず、買う姿勢を高めると有効である。

底値離脱を暗示の赤三兵

この赤三兵は底練り段階が終了し、次の相場の展開を暗示してくれるチャートとして知られている。赤とは陽線を意味し、陽線3本がじり高の形で並ぶ形をいう。図15

実例は2003年4月末に富士通の株価に現れている。(図16)見事な赤三兵である。4月中旬に300円で底入れした後、反発し、改めて下落して、赤三兵が形成された。それからアレヨアレヨという間に上値を追っかける展開になり、1か月後には400円台に乗せている。短期で30%の上昇のケースは少ない。2003年の3月までは18%の上昇率になっている。特に、02年12月に多くこのチャートが現れている。相場全体が下落基調にある中で、早くも先行きの相場が高いことを暗示していたことになる。つまり、赤三兵は底入れのサインと同時に、先行きの明るさをも知らせてくれる吉報でもある。その意味で赤三兵は大いに参考になる買いサインとしてみて頂いてよい。

捨て子十字線

捨て子十字線。何やら物騒な名前のついた線である。捨て子とは穏やかではない。図17のように下落基調が続く

過程で急に大幅な陰線がでた翌日に、ポーンと下に離れたところで十字線がでた場合、捨て子線と呼ぶ。いかにも、その十字は遠いところにポツンと置いてきぼりを食らったような格好になっており、寂しい思いをさせられている捨て子のような感じを受ける。そういうことから名前がつけられたのであろう。この十字は上下の幅か大きく、結果として寄り付きと終値が同じで引けた格好になっている。すなわち、下落に続く下落の後で、ついに買い方はしんぼうしきれず、どっと投げた。それを待っていたように新たな買い方が投げ玉をさらうと言う展開になった。下値での売り買いが激しい攻防の結果、がっぷり四つで終えた形がそのようなチャートになったといえるだろう。つまり、下落一本調子だった相場が転機を向かえたことを意味して、底入れの兆しとされる買いサインのチャートの代表といわれる。

図18の住友不動産はその後、見事な上昇波動を演じている。ただ、底入れの兆しといっても、すべてがその後、大きな上昇展開になるとは限らない。単なる自律反発で終えるケースも多々ある。その意味で、このチャートでの買いは深追いをしてはいけない。短期で10%高で退く姿勢で対処することが扶南であろう。

並び赤

 並び赤。赤とは赤三兵でいったように、陽線を意味する。上昇過程の中で陽線が小さく、ピッタリ同じような値幅で並んだ状態を指す。図19.。

このチャートはしばしば現れるが確率論から言えば、その後の上昇は市場全体の流れ、その銘柄のもつを無視できない。03年の5月以降に現れた並び赤は概ね、その後の上昇幅は満足できる成果を得られることができている。しかし、02年に現れたケースは失敗に終るケースもみられる。全体の相場が弱い面が影響しているものとみられる。しかし、よほど、その銘柄に強い材料があったケースは上値を追っているようだ。もちろん、並び赤に限らず、強い材料のもつ銘柄はどんな買いサインがでても上値を追うものであり、並び赤が現れた意味は改めてその銘柄を買おうという動機づけの役割を果たすものになりうる。したがって、並び赤がでた場合にはケースバイケースとして割り切ることが重要で、完全に信じて入れ込まないで冷静に対処することが大事であることは当然なことである。図20の森精機は並び赤の一例としてあげてみた。

やぐら

やぐら。これは上値遊びが上昇過程で現れて買いのサインになると説明したが、やぐらは相当下落した後に現れるいわば、「下値遊び」と呼んでも良い底値圏で表れる買いのサイン。大幅に下落し、大陰線が現れて、その翌日から大陰線の下値近くで小さい陰陽の線がいくつも続く、その後で一気に大陰線の寄り付き値を上回る陽線が現れた場合を「やぐら」という。いかにも、大陰線と大陽線の二本の柱がやぐらの形を成す格好にみえる。底値形成の代表的なパターンである。図21

過去2年の間に筆者の引っ張る120銘柄の中で10パターンがみられた。それによると「やぐら」の買いの成功率は50%となっている。つまり、半分は失敗というよりも利食いできるほどの上昇につながっていないことを意味する。少し、上昇しても、また、反落の憂き目に合って、結果として利益がでないケースがあるということだ。そのため、このチャートはよくよく、慎重に対処することが望ましい。成功例としては03年4月に現れたNECを挙げてみた。図22

陰の陰はらみ

 これは下落過程が続き、更に、大陰線が出た後にその陰線の中でもうひとつ陰線がはらむケース。図23

そして、その翌日に陽線が現れて、陰線を抜いた場合に買いを断行する。買いサインのチャートのひとつとして数えられる。

 このパターンは下落基調、上昇過程の調整場面などを問わず、しばしば現れる。下落基調では一旦、反発するものの、上昇時間が短くなり、すぐに反落するケースも多々みられる。むしろ、上昇過程に入っている銘柄の調整場面でのケースのほうがその後、上昇するケースが多くみられる。そのため、陰の陰はらみは下落基調での買いサインとしてみるべきではない。上昇トレンドを維持している銘柄の調整期に絞って、買いを考えるべきチャートのサインとしてみておれば、それほど大きな失敗もあるまい。また、買った後も短期決戦が望ましい。概ね、10%程度の上昇での売りを狙うには最適といえそうだ。図24のダイセルのチャートは典型例。

W底形成

これはこれまでのチャートのように数日間で形成されるパターンと違って、1ヶ月、3ヶ月というよにしばらく時間をかけて形成されていくチャート。大きく下落した後に2度底値を確認した後に、そのW底の頭の部分を突破して上値を追う形になったケースをいう。図25

1度目の底値に対して、2度目の底値もほぼ同じ株価をつけることが平均的なW底であるが、2度目が1度目よりも少しは安いとか、高いことでもかまわない。また、三尊型の底値形成といって、3度同じような底値をつけた後に、本格的な上値を追うケースもみられる。この場合には3ヶ月くらいの時間をかけて形成される。この場合には中期的な上昇をみせる。1ヶ月程度のW底形成よりも上昇期間が長いとされ、値幅も大きい。

図26トクヤマのチャートで例を挙げてみた。比較的、買いで参戦した場合には利食いが可能となるもので、カブセを抜くチャートと並んで買い戦略の成功の確率の高いチャートである。ただ、短期よりも中期狙いで対処することが望ましい。

2つ星、3つ星

上昇過程で大陽線が現れ、その翌日に小さな陰陽線が大陽線よりも上値で現れる。それが2~3個でて、その翌日に上値追いとなった場合に買い出動する。図27

この買いサインは良くでそうでなかなか出ない。しかし、必ず、そのあとの上昇というものについて確実とは言い切れない。上昇だと思っても、その直後カブセなどがでたりして、逆に、売りといこともありうる。したがって、このサインは後の展開が大きな意味をもち、あまり、このサインに左右されないで投資することが望ましい。TOWAのチャートで実例を挙げてみた。図28

以上買いのチャートについて説明してきた。これはすべて材料も業績もすべて無視して、チャートの形だけについて買いで利食いできる可能性のあるものを中心に解説したのである。

以前から何回もいうが、チャートだけみていたのでは当て物のような買い方である。しかし、それをより確実にするのは企業の業績、材料を加味した企業価値、すなわち、投資価値というものである。それを確認した上で、タイミングを計るためやどこで売却するのかが望ましいのか、などの判断ためにチャートを最後に参考にするのである。それを決して忘れずに投資を考えれば、より、チャートは投資作戦を成功に導いてくれる。

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