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第6講 銘柄の選択2 ヒット商品、新技術を重視

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好奇心をもって見よ

2002年に話題を集め、ヒットした商品はデジタルカメラ(デジカメ)、DVDプレーヤーなどが挙げられる。デジカメは凄まじい勢いで伸びた。何と、世界で66%増の2455万台も出荷されている。今年の1~6月では世界で倍の伸びをみせた。この勢いで今年は3700万台と50%増に達する見方がでている。生産能力はソニー1000万台(前年550万台)、キャノン750万台(同400万台)、オリンパス750万台(同450万台)、富士フィルム700万台(同450万台)、ニコン500万台(同300万台)、ミノルタ200万台(同100万台)、カシオ280万台(同140万台)、ペンタックス160万台(70万台)とデフレ不況下での日本の各メーカーは一斉に生産量を大幅にアップさせる。この生産量を合計すると4300万台になる。

これだけの増産体勢を敷いても、レンズの供給がついていけないために、各社はレンズの争奪戦に走っているという。レンズの

供給大手はタムロン。昨年は600万台分のレンズを供給したが、今年は900万台分を供給する。デジカメ1台分には6枚程度が平均必要とされているため、今年は約5400万枚の供給になる。コニカも今年6月からガラスレンズを月270万枚と50%増産し、来年からは400万枚に増産し、プラスチックレンズをそれまでの月100万枚を220万枚に、来年には400万枚にする。

レンズは携帯電話向けのレンズの需要もあり、いくら増産をしても足りないという。

かつて、世界での一眼レフの販売ピークが3500万台であったが、すでに、1~9月で2700万台を突破しており、確実にそれを抜くことになる。すでに、国内では高機能でありながら価格が低下し、過剰生産の懸念がでているが、海外向けはほぼ倍のペースが続いており、とにかく、デジカメには勢いがついており、今年もヒット商品であることは間違いない。

その関連企業の業績も軒並み好調だ。最大手のソニーはこの商品に関しては好調だが、パソコン、ゲームの落ち込みをカバーできず、04年3月期は51%の連結経常減益を予想している。業績の寄与度の大きいオリンパス、富士フィルム、コニカミノルタ、キャノン、ニコンなどは軒並み大幅増益か、大幅黒字転換となっている。

ニコン 67億赤字→90億円

オリンパ 524→ 600

富士フィ1205→1680

コニカミノ324→ 455

キャノン12月決算3300→4400

(左数字03/3、右04/3予想)

中でもタムロンの業績は凄まじい。カメラ本業以外のデジカメへのレンズ供給が劇的な伸びを示したことでここ3年の収益の変化は倍々どころの伸びではなかった。

01/12  04億2600万円

02/12  28億5900万円

03/12  51億円(予想)

      (連結経常利益)

となっている。その株価の動きも順調そのもので02/12月時の予想が発表された時点で動意づいて以後上昇ピッチが続いている。すなわち、02/2月の330円の株価が03/10月には高値6430円をつけた。実に、20倍近い上昇である。02年の相場は夏以降全体の株価が下落に拍車をかけたにもかかわらず、同社株は上昇を続け、年末には1000円台をつけている。つまり、時の大ヒット製品の銘柄は全体の下落にも響かず、独自の展開になる。その典型となった。

一方、DVDプレーヤー(レコーダーを含む)だが、02年は97%増の337万台の出荷となり、今年は450万台を見込む。そのうち、レコーダーは昨年62万台であったが、03年は世界で5倍の300万台以上の出荷が予想され、04年には800万台以上が見込まれている。すでに、DVDの再生専用機は世界で5000万台の普及があるが、まだ、日本以外での普及はゼロに等しく、来年から販売に加速がついてくる。

て、レコーダーのシェア40%とトップの松下電器は生産台数を2.5倍の120万台までアップさせ、同20%のパイオニアも60万台と3.5倍もアップさせた。録画方式が松下とパイオニアでは違うが、ここ数年間で松下のROM方式が圧倒的なシェアを奪ったことになる。

液晶テレビ、PDP(プラズマディスプレイパネル)などの薄型TVも順調に伸びている。液晶TVが先行して普及し始めている。02年は初めて100万台に乗せており、03年は300~380万台と激増が予想されている。PDPも成長ピッチが早まっている。02年には40万台の出荷だったが、03年には80万台へと躍進する見通し。液晶に比べて価格が数十万円と高価なために、普及ピッチが遅い。DVDの普及に伴って、DVDビデオカメラも03年から増加傾向が強まりだした。02年は15万台の出荷だったが、03年には50万台へと急増する見通しにあり、05年には200万台を超えると推定される。

デジタルテレビも今後のヒット商品となりそうだ。2011年には全面的なデジタル本放送が始まるが、その前に年末から東京、大阪地区などで先行してデジタル本放送がはじまり、事実上のデジタル時代が幕を開けることになる。それに伴って、アナログ放送TVはテレビは使用できなくなり、デジタルテレビの普及は毎年普及ピッチに加速がついてくることが予想される。

03年のヒット商品のデジカメ、DVD、薄型TVはすべてデジタル製品ということになり、デジタル時代にマッチした製品になり、今年、来年にも好調を持続することが予想される。

以上のようにデフレ不況下の中でも爆発的なヒットを飛ばす新製品が見いだすことができた。そうした、製品のメーカーの中で業績へのインパクトの大きい企業の株価は必ず、大きく買われている。

すでに、紹介したデジカメの企業はタムロンばじめ、オリンパス、コニカミノルタなどは下落相場基調の中でも大きく水準訂正されていることで明らかである。

松下電器はDVD、シャープは液晶TVのシェアトップであり、ヒット商品をもつ会社として04年3月期の業績は74%連結経常増益、31%同増益と予想している。株価も今年後半にかけて上値を追っかけていくことになりそうだ。それに対して、ヒット商品のウェイトの低いソニーの業績は04年3月期には51%同減益を予想している。全体の相場が春先から押し上げる相場展開の時にはツレ高したが、その後株価は低迷したままになっており、ヒット商品をもつ銘柄と明暗を分けている。

どんな相場状態が悪くてもヒット商品をもつ銘柄は逆行高する上に、長期にわたって人気を持続できるという特徴をもっている。もちろん、市場規模の小さいものよりも、大きな市場に育つものを選ぶことを忘れてはならない。その中からヒット商品の寄与度の高い銘柄が最も大きく買われることになる。

自分の常識を大切に

ヒット商品を探すことはなかなか難しいと思われる方もおられるが、自分の常識を大切にすることで探すことは誰でも簡単にできる。それと日頃から何でも見てやろうという好奇心をもって情報を集めることである。

 例えば、デジカメ。これまでの一眼レフカメラと比べて、簡単で自分で画像編集ができる。動画も写せるようになったなどと小型で、高性能で、価格も安い。これはあなただけがほしいと思っているのではなく、皆がそう思っているのだ。そういう商品はヒットする可能性が高い。更に、ヒット商品の条件は生産する側にとってもメリットがあり、消費者も満足できるという両方に満足感が満たされなければ、大ヒットしない

 生産者側だけの都合で作った製品は消費者を無視するために、販売しても限界がある。また、消費者だけが満足しても、それが生産者の利益につながらなければ十分な供給が難しくなる。現在、普及途上の太陽光発電装置はその例であろう。

 電気代が助かるという消費者にとって欲求を満たすには十分な商品にも関わらず、価格が小型乗用車並みであり、普及スピードは遅い。一般家庭の年間電気代は概ね30万円と推定される。家族も多くて電化製品を多くしようする家庭では80万円程度かかるであろう。3㌔ワットの太陽光発電装置は150万~200万円。耐久年数が20年で、現在の年間電気代ならば、10年未満で償却できるため、残り10年以上は電気代がタダになる。その意味では普及にスピードがかかっても良いのだが、今一歩、普及が進んでいない。これは電気代がタダになるといっても、当面の資金が150万円以上もかかるために、踏み切れないようだ。そのため、2000年時点で発電量は32万㌔ワットと原子力発電所0.3基分に止まっている。しかし、05年購入に際して補助金が打ち切られるが、その時までに100万円(3㌔ワット)を切るとみられ、補助金なしでも普及に拍車がかかるとみられる。2010年には500万㌔ワットと原子力発電所5基分まで普及し、2030年には8000万㌔ワット(同90基分)まで普及するとみられる。その頃には太陽光発電装置は30万円(3㌔ワット)程度まで下落していることになる。約400万世帯までの普及だ。

 このように、便利だが、価格が高いために、普及ピッチが遅いものには株価面での人気が付きにくく、新しい技術だからといって、その関連銘柄を買うことは必ずしも成果が上げられるものではない。

 ヒット商品を見つける方法のひとつとして、テレビのコマーシャルをみるのもひとつの方法である。いつみても、コマーシャルを流している自動車、携帯電話、日用品、消費者金融、食品飲料などを別にして、最近は「このコマーシャルが目立つなあ」と思えば、その製品はヒット商品である。よく売れているからコマシャルを出す余裕があるのだ。そこで、その会社の株価をみるのだ。ジワジワ上がり始めていることが分かれば、その銘柄を買ってみようという行動を起こす。ぼけっと「このコマーシャルが面白い」とただ、笑っているだけではダメなのである。

 身近な情報源でヒットを知る方法がテレビだが、更に、簡単にヒットを知ろうと思えば、新製品が発売された時にすぐに買ってみることである。自動車やマンションなと゛の高額商品は別にして、20万円以下の製品はなるべくすぐに買って使うことである。そして、自分が良かったと思うものであれば、それはヒットにつながっていく。常識的に客観的にみて、判断すれば良い。自分が面白い、便利などという感覚をもてば、他の人たちも同じことを感じていることをよく知ることである。

 好奇心をもつことも自分の好き嫌いで判断しないで、「なんでだろう~」という漫才師の流行語ではないが、常に、どうして、なぜということを考えて、物事を判断することを心がけることである。

新技術は業績と相談

ヒット製品はズバリ業績を大きく押し上げるために、強気姿勢で買い作戦に臨んでも良いが、新技術などすぐに、業績に寄与を見込めないために技術だけをみて必ずしも、強気で対処してはいけない

 例えば、画期的な制ガン剤を開発した医薬品会社は一時的に急騰するが、その後はサッパリ動きが鈍くなることがある。将来、ガンをなくしてくれる大物薬であれば株価が高くなって当然と思い、下落過程でナンピン買いを続ける投資家がおられる。下落するたびに、「なぜだ」と叫ぶのだが、株価は一向に反応しない。

 その理由は市場の人気が医薬品銘柄に全く眼が向いていない場合、その開発会社の現状の業績が低収益で、減益見通しにある場合、すでに、別の材料で相当買われていたところでその材料が飛び出したなどの場合には持続的な上昇が難しいケースもあると考えるべきである。

 新技術は実用化されるまで、時間的なギャップがある。医薬品などは基礎実験の時には画期的であっても、臨床試験を進めている過程で期待されたほどの効果がなかったというようなことはザラにある。また、研究途中にそれを上回るような製品開発が飛び出すこともある。果たして、そうなると発売できるのかどうか判断がむずかしくなる。そのような懸念が残る場合、その材料だけで理想買いすればリスクが高くなる

 特に、業績の悪い銘柄や収益力のない銘柄であれば開発負担がモロに収益を直撃する。しかし、業績が好調で収益力のある企業であれば、その負担も株価の下値不安も薄れる。したがって、技術だけを理想買いする時には好業績銘柄の場合に絞り込んで、対応することが望ましい。

 再生医療で最近話題を集めているアンジェスエムジー。肝細胞増殖因子(HGF)というタンパクを作る遺伝子を使って下肢の末梢性血管障害を治療する遺伝子治療に取り組んでいる。米国でその臨床に入ったが、国内でも臨床試験に入る。07年に製品化を目指すというもの。会社の売上げはゼロで提携先の第一製薬から開発協力金の供与が売上げになっている。今年から臨床試験が重なるために、赤字幅は今期も拡大が続く。

 株価は03年初の40万円程度から1か月も経たずに132万円の高値をつけた。完全に理想買いだけの典型例である。筆者はかつて制がん剤などの夢の新薬開発をしていた大日本製薬、持田製薬、科研製薬などを詳細に取材し続けたことがある。しかし、結果として、ことごとく夢に終わり製品化することはなかった。アンジェスの再生医療を実現する遺伝子治療は果たして、商品化して大きな利益を生むかどうか見ものである。そう考えると理想買いだけで株価が大きく化けて現状の利益が全くない状態の銘柄は深く追うことは危険である。発売できるメドがついてから判断しても遅くない。

 余談になるが、同じ再生医療の理想買いを演じた銘柄として日本ケミカルリサーチがある。大阪市場第2部銘柄である。この会社の提携先にオサイリス社(米国)が再生医療で常識を覆すような開発に取り組んでいる。骨髄細胞の中にごく微量含まれる間葉系幹細胞(MSC)を、例えば、心筋梗塞の心筋に投与すれば、心筋細胞を増殖させて心拍数を数ヶ月後にはほぼ正常に戻すという。ブタの心筋でそれを確認しており、将来ヒトでの試験でも有望視されている。そこで、驚かされることは他人のMSC細胞を投与しても拒絶反応がないというのだ。しかも、体内には微量しかないが、大量培養が比較的容易という。応用は心筋だけに止まらず、あらゆる臓器にも応用可能という。来年から米国では試験に入る予定という。これが実際に、実用化されると提携先の日本ケミカルの株価は大きく見直されることになりそうだ。

 株式は夢を買うものである。「こういうことができればよいなあ~」とか、「あんなことができれば楽しいなあ~」という夢を実現させた銘柄は大きく買われる習性がある。しかも、独自で開発した企業ほど大きく買われるものである。

 夢を実現し、実現した製品がここまで伸びるというような現実の予想が噛み合うほど良い。典型例は任天堂である。

 すでに、任天堂と聞けばファミコンとすぐにイメージが浮かぶようにゲームの代名詞になっている。ファミコンは1983年に発売している。それまでのTVゲームはもっぱら業務用が中心で、インベーダーゲームが爆発的な人気を集めていたことで皆さんよくご存知であろう。1978~80年ころのことで任天堂もそちらに力を入れており、「ドンキーコング」「マリオブラザーズ」などの人気ゲームを出していた。

 その後、業務用から家庭用に向けて方向転換し、1980年に家庭用ゲームの「ゲームウオッチ」を発売する。これが大当たりし、そこで稼いだ資金を投入し、ファミコンを3年後の83年に登場させて、以来、20年にわたって「スーパーファミコン」「ゲームキューブ」へと発展していく。マーケットも日本国内だけから米国、欧州へと広がりをみせていく。

 その間の業績はまさにドリームと呼ぶにふさわしい展開だった。

決算期  売上げ  経常利益

1979/8  152     14

 82   575    177

 85   772    223

 88   1786    500 

  91     4509       1403※

  93     5670       1637

(単位.億円、※.決算期3月に変更)

「ゲームウオッチ」発売前の79年の業績が「スーパーファミコン」投入後の業績までの推移を表したものだが、実に、その間の売上げは37倍、経常利益で116倍という凄まじいものになった。株価も80年のゲームウオッチ発売直後が500円前後だったが、まず、そのヒットで82年に高値3530円まで買われる。そして、「ファミコン」発売後、5月4000円台に乗せた後、ほぼ一貫して上昇を続け、90年8月に34300円の史上最高値をつける。それ以後、売上げは一旦、3000億円台まで落ちるが、携帯ゲームで盛り返し5000億円台まで戻す。しかし、株価は最高値を以後、更新することがなく、現在に至っている。

 このように、自社開発製品で市場を新たに創造し、しかも、巨大な市場を作り上げた企業は長期にわたって株価は上昇を続ける。

 日頃からどんなものにも興味をもつて物事をみることを心がける

ことはお金を拾うようなものであると思うべし。

 ちなみに、任天堂だが、すでに成長は終わっており、長期低落傾向に入ったとみている。5000円台まで下落傾向が続くのではないか。

 最近の取材で1万円相場に発展する銘柄に出会った。

 ジャスダック市場に登録されている「アーク」という銘柄だ。現在は7000円前後で推移しているが、1万円に乗せる素質を有している。04年3月期は1株利益220円程度になると予想されるが、05年には370~400円に乗せる見通しをもっている。この会社売り上げが200億円に乗せた01年に05年には1000億円の計画を策定している。04年に714億円を見込むが、05年には1000億円乗せは余裕で達成できる見通しというのだ。

 自動車、ハイテク業界から試作品の製造を一手に引き受ける珍しい事業を柱にしている。デザイン→設計→成形→金型に至るまでの一貫システムを作り上げ、低コスト、迅速をモットーに大手各社に取り組んでいる。同時に金型企業を買収し日本一の金型集団を形成するまでになっている。国内だけでなく、海外のメーカーにも食い込んでおり、来期以降も高い成長に自信をもっている。1株当たり利益300円以上で20%以上の成長性、オリジナル分野で強みの条件を揃えている銘柄は1万円以上の素地があるといわれており、同社はその条件を揃えている

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