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第14講 投資戦略5 売りサインのチャート

2020 3/29
目次

下落基調を確認して対処を

買いのサインを前回、説明した。底入れ形成にしばしば現れるチャートを中心に説明したが、上昇過程に現れる買いのサインも古来からいろいろなパターンがみられる。しかし、それが確実に上値を追うものかどうか判断がつかないケースも多くみられるために、今回は削除した。底入れ形成後に現れる場合の方が高い確率とみて説明したわけだ。

株式投資で利益を確保していくことはそれこそ、至難の技であり、投資家の皆様にお伝えしようとする場合にはあいまいなものはすべて削除しなければならない。特にチャートは買いのサインとみれば、逆に、売りだったということが多々ある。しょっちゅう、買いのサインがでて、そのたびに買い注文を出していたのでは切りがない。成果も不確定である。上値を確実に狙える場合のチャートだけを追えば、良いのである。その可能性の高いのが底入れ形成後の買いのサインとみたわけだ。

もちろん、何回もいうが、チャートだけでの株式投資の売買はご法度である。あくまでも、その銘柄のもつ収益性とか、材料、需給関係などを考慮して、最後にチャートで判断するのである。いわば、チャートはすべての準備を終えた後の出動のタイミングとみるべきなのである。

演劇の練習を重ねて、いざ、公演をしようと決めても、公演場所が遠かったり、雨が続く梅雨時にしてもお客さんがこない。やはり、晴れの日、駅に近い場所を選ぶだろう。準備万端でも最後のツメが甘かったりすると何にもならないのである。

そうして買い出動する。では、売りはどうするのか。一応、売りは買った時点で目標設定をするが、その前でも売りのサインがでれば、売却も考えてもければならないが、その銘柄の上昇位置とか、材料の大きさ次第では、そのサインを無視してもよい場合がある。日足の場合、売りのサインがでても1週間程度で調整が終わり、逆に、買いサインが現れるケースも多々ある。その銘柄のもつ材料によって、それは決まってくるためだ。

それでは売りサインのチャートについ主なパターンを取り上げて説明していく。

大黒線

大黒線とは上昇局面で一気に大陰線で叩き込む。大天井形成を意味する。それまで、相当上昇ピッチが早かった場合にこの線が現れると躊躇なく即刻売り。戻るだろうと考えてしばらく待っても無駄で、大陰線の寄り付き値までの戻りはありえない。1ヶ月や3ヶ月では戻らない。底入れまで下落幅も相当大きくなることが予想され、「しまった」と思えば手仕舞えの格言を即刻実行する以外に逃げ道はない。(図B1)

こういう線がでる場合は好材料をしたから織り込み、2倍とか3倍まで買われて、最後に人気が沸騰した後に、突然、大黒線が現れるケースと上昇過程で突然、悪材料が飛び出し一気に下落局面を迎えたというケースが考えられる。業績や材料面で魅力のある銘柄でそういうチャートがでた場合には大きく下落しても、調整期間が短く、改めて出直ることもありうる。しかし、仕手戦で空売りと空買いの取り組みが拮抗した状態で上昇してきた銘柄でこのチャートがでるととりあえず、即刻退却することである。問答無用の売りということになる。

図B2のソフトバンクのチャートを見ていただきたい。5000円台に乗せた後、一気に急騰しアッという間に7000円台に乗せた後、今度は900円の長い大陰線が現れた。これが大黒線である。その翌日には高く寄り付き、7000円に届こうかとする寸前で改めて売られ、一気に下落し6120円で引けた。更に、その翌日は売り物から始まり、マドを空けて急落し、ストップ安の5120円で引けた。その後もわずかに戻す場面があるものの、3000円台まで下落が続く。大黒線の寄り付きまで戻ることなど夢のまた、夢という急落相場である。典型的な天井形成をみせたことになる。

したがって、大きく上昇した後に、大黒線が現れたときには即刻売りを敢行することが望ましいと言えるだろう。

カブセ

カブセは相当上昇した局面で前日の陽線よりも高く寄り付いて、大引けにかけて、一気に前日の陽線の中で引けた状態。上から叩き込むような形で大陰線がカブセてくる格好になる。これをカブセと呼ぶ。図B3

カブセが現れると確かにその後、下落局面に入る。しかし、そのまま、反発らしい反発もなく、下落状態を続けるケースがある一方で、一旦下落してもしばらくして、反発しはじめ、ついには、このカブセを抜いてくるケースもある。その場合には買いサイン(カブセを大きく抜く形になった強力な買いサインになる)になる。つまり、上昇余力を残した銘柄となり、一時的な調整にすきなかったことになる。このように2つのケースが考えられる。概ね、前者の下落パターンが続くケースが多いと考えられ、やはり、こパターンが現れると売りを敢行することが無難であろう。さきほどのソフトバンクのチャートに現れているが、このケースは調整した後に、カブセをとる買いチャートがでたことで、逆に、上値を大きく上回る展開へと大転換したケース。

三羽烏

三羽烏は上昇過程において、陽線の後、翌日に陽線の引け値とほぼ同じ値で寄り付いた後、陰線で引ける。それに続いて、2本連続して陰線で小幅下落した状態。すなわち、3本の連続陰線を指す。三羽の烏が不吉な予感を呼びそうないかにも下落を暗示する名前だ。図B4

 このチャートはその後の下落局面が続いても、それほど長くない。大幅な上昇をみた後や更に、追い討ちをかけるように大黒線や陰線が続くというパターンでもない限り、大きな下落を意識することはない。上昇初期

波動で三羽烏がでたとしても、押し幅が深い程度と考えても良いだろう。その後、買いのパターンが現れたときには素直に買い転換してもよい。

図B5のNTTドコモの三羽烏は天井形成の直後に現れたことで、その後の展開は反落傾向に支配され続けている。典型的な三羽烏後の下落相場になった。しがって、このチャートはとりあえず、退却してみることが重要である。ここでの売りは買っていたとしても、大きなケガが少ないというものであり、決断も早くとれるのが救いであろう。

はらみ十字

長い陽線の翌日にトンボが陽線に止まっているようなチャート。それがはらみ十字と呼び、一旦、退却のパターンになる。図B6

このチャートは売り形成になるものの、決定的な売りとは決め付けられないこともある。当面、売り訪印だが、大陽線の中で株価が推移するようであれば、売りを待つことも悪くはない。決定的な売りは大陽線の寄付き値を下回った時だろう。陽線の線の中で数日、小動きして、陽線の引け値を上回ると場合がある。これは買いパターンになる。すなわち、上値遊びの形になり、逆に買いとなる。したがって、はらみ十字は大陽線の下値を切るかどうかで売りを決める作戦でも良い。

大林組のチャート図B7のようにあっさり陽線の寄り付き値を下回ったケースは下落パターンになっている。チャートは売りのサインであっても、展開次第では必ずしも、そうなるとは限らない。それだけに、判断が難しく、チャートの判断だけではその株価の動きは読みきれない。それを常に、頭に入れて売り買いの判断を機敏にするべきである。

下放れ2本黒

下落過程が続く中で、更に、下に放れて、2本の陰線が連続の形で現れたケース。これは、更に、大幅な下落が続くことを暗示する。「ここまで、下落したのに、まだ、下落するの?」と非常に厳しい判断を迫らされる売りのサインである。売りのチャンスを失い、戻りわ待っている段階でこのケースは引導を渡された幹事で、死刑宣告にも等しい。それがこの下放れ2本黒であり、残酷なサインである。しかし、それを無視すると、更に、ケガが大きくなると思われるので、従うことが賢明のようだ。図B8

 このチャートもソフトバンクのチャート図B2にハッキリと表れている。7000円台から下落傾向が続き、4000円でこのチャートが現れたのである。すでに、売りのチャンスを失っている状況にあり、さすがに、この局面で売れというのはまさに死刑宣告に等しい。しかし、その後、3000円割れまで下落が続くことになり、売りは正解になっている。もうここまで下落しているのに、という判断は避けたほうがよさそうだ。

反逆線

下落局面が続いてる途中で、寄り付きから売られて、下放れた後、引けにかけて戻し、前日の陰線の中まで入って、陽線になる形。比較的長い陽線になる。図B9

 このチャートも注意して判断しなければならない。下落の日数が浅い場合には、このチャートが現れると戻り売りの作戦でよかろう。しかし、3ヶ月以上の下落が続いた場合には必ずしも当てはまらない。相当下落した後に現れる差込線と解釈できるためだ。差込線は前日の陰線の翌日に、寄り付きから大きく売られて、安寄付き値をつけた後に猛然と戻り、前日の陰線に差し込む形。反逆線と同じだが、相当下落し、日数も経っている場合には底入れ形成を意味する。このケースの買いは前日の陰線の寄り付き(頭)を抜いて、翌日に陽線が入れば確認したことになる。その判断が難しいが、基本的には戻りを売る姿勢でよかろう。ソフトバンクの図B2にでたのは反逆線のケース。

陽の陽はらみ

上昇過程で伸びきったところで大陽線にもうひとつ陽線がはらむ形。いかにも、翌日から高いと思わせる形だが、これは天井が近いことを暗示する。即刻売りという火急さはないが、まもなく、大きな下落がありますよと警告してくれる。ありがたいご託宣のようなチャート。素直に売りをすれば、ケガもなくてすむ。このパターンは是非、記憶してほしい。少しくらい上昇した後に現れた場合には天井暗示ではないので、選別すること。図B10

これも典型例がソフトバンクによく表れている。何だか、ソフトバンクは売りのチャートのバンク(銀行)みたいになっている。大きな陽線がでてそして小さな陽線がはらんだ。その翌日も高値を保ったのだが、その更に翌日には大黒線がでて、一気に急落を演じた。陽の陽はらみがまさに、天井を暗示したことになる。
これをみて、即刻売っておれば難を逃れた。伸びきった相場の場合にはこのチャートには注意することである。

最後の抱き線

相当上昇相場が続いた後に、陰陽の小さな線の翌日に大陽線が抱き込む形で現れたケース。いかにも、ここから大きく上昇するようにみられるが、それがクセもので、翌日の陰線をみて、退却を決める。これも天井を知らせるチャート。素直に天井とみて速やかに売却することが望ましい。少しぐらい上昇して現われた形は本物ではなく、むしろ、買いになる。相当、上昇して伸びきったところで現われたものが本物。図B11

 図B5のドコモに表れているが、このケースは上昇幅がそれほどでもなく、判断が難しい。しかし、その後に、三羽烏によって天井が確認されている。事実上、三羽烏で知らされたケースといえよう。大幅な上昇したケースに限って、売りが知らされることを覚えておくこと。ドコモの場合で、もしも、大陽線の中で小さい陰陽線が6本程度続き、上値をとってくると上値遊びになり、買いとなる。やはり、大陽線の寄付き値を下回った状態で売りと判断すべきであろう。

上放れ十字

 これは別名、天井形成の捨て子十字と呼ばれる。大きく上昇してきた展開の後、いきなり、寄り付きから買い物を集めて高く値がつきその後、もみ合いになって、結局、寄り付きと同値で引けた場合。翌日の陰線を確認して売りと決める。その十字線だけをみて、売りと決め付けてはならない。必ず、翌日の陰線を確認して売りを決めることが望ましい。翌日、陽線がでた場合には一段高のケースもあり、あわてて判断しないことである。図B12

 実例では図B5のドコモにも現れているが、より、ハッキリした形は図B13の積水ハウスにみられる。相当下落した後の下放れでの十字は買いのサインになるため、この捨て子線は天底の兆しと呼ばれている。通常、しばしば現れる十字線は転換線とよばれており、大天井、大底のサインではないにしろ、それまでの動きが逆になるというサインとして知られている。また、小動きしていた時に十字線が現れると大きな動きに変化する意味もあり、それまでの逆の動きになるだけの意味ではないも知っておくこと。

以上、売りサインのチャートについて、主なのを説明した。説明の途中で何回か指摘したが、チャートが売りサインを示したからといって、必ずしも、そうなるとは限らないことを常に、心がけておくことである。日足の場合には売りとでても、大黒線のように決定的な売りなど、暴落を暗示するチャートを別にして、売られてもそれほどの日数を置かずして、買いサインが現れることもある。

そうした区別は銘柄のもつ業績や材料がどのくらい株価に織り込んだのか、また、投資価値で判断して、一旦、売られたものの、調整して新たに買われることもあるように、銘柄のもつ実力と関係が深い。長期上昇波動での調整安のケースなのか、短期急騰後の大幅な反落で相場が終焉したのかの判断はすべて業績、材料の大小できまる。その意味で売りを仕掛ける場合には銘柄を良く知ることが大切なのである。チャートだけで判断すると危険というのはそういうことを意味するのである。

カラ売りについて

売りについて説明しているが、勘違いしてほしくはない。カラ売りを仕掛けろという意味ではない。カラ売りとは売買のはじめを売りから入って、後で買い戻すことをいう。株券をもっていないで売るので空(カラ)売り、すなわち信用取引新規売りという。株価の3分の1の担保売ることができる。もっていない株券を売るために、どこかで株券を借りてこなくてはいけない。証券会社を通じて日本証券金融や大阪証券金融から借りてきて売るのである。金利を支払うのでなく、金利をもらえる。

カラ売りは筆者は禁じ手と決めている。売りは株価が下落すれば儲かる仕組みだ。しかし、見通しが狂って株価が値上がりすればどうなるのか。損失となる。出世株とは知らないで、値下がりを見込んで売るとどうなるのか。200円の株価が400円になったり、600円になったりする。場合によっては1000円まで上がったりする。最長6か月でカラ売りは決済しなくてはならない。(松井証券では無期限というものもある)決済時に600円にもなっていると泣く泣く400円の損失で決済しなくてはならない。うまく、下落したとしても、最大で200円幅だが、それは倒産したときだけであり、実際上は100円幅を取れるかどうかというもの。上げる材料を無視して相対的に高いと判断してカラ売りを敢行すると大やけどをすることになる。

一方の買いは信用取引(カラ買い)で買って6か月の決済期日が到来しても現金で株券を引き取るという手があり、持ち続けることができる。このように、カラ売りは失敗すると実損を出す以外にないのに対して、カラ買いは逃げ道が残されている。そのような意味からカラ売りは禁じ手としている。事実、かつて、カラ売りを専門にしていたプロの投資家は「買いよりも神経をすり減らす」と語っており、あまり、体によくないようだ。

したがって、売りの説明はあくまでも利食い売りか、損きりのときの対処として使うことを強く訴えておきたい。

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