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2 集中投資を重視せよ

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① 資金集中を心がける

 投資相談を日頃から積極的に受けるようにしている。銘柄判断に自信があるためではない。上場銘柄の4000近い銘柄をすべて把握できるわけがない。そんなことは不可能である。ましてや、正しい投資判断をすることなど至難の技である。しかし、業種の代表銘柄ぐらいの業績は概ね把握しており、主要な銘柄のチャートは頭に入っている。そういう基本的なデータに相場全体の流れは常に、みているので、相談する銘柄そのものは正確に分からなくても、大筋は判断できる。どうしても、分からない銘柄は後日ということでご勘弁願っている。相談する投資家も詳細なことを求めているのではなく、処分をどうしてよいか判断を決めかねているために、「ワラをもつかむ」感覚で相談するようだ。そうすることで手持ちの銘柄から発生するストレスから少しでも逃れられるのであろう。その少しばかりの心の安らぎにお役に立てればと思ってできる限り相談に乗るように心がけている。

 それにしても、相談する投資家は資金の差こそあれ、どうして、たくさんの銘柄を最小単位の株数で所有しているのだろうと常々、首を傾げさせられる。筆者が相談を受けた投資家だけではなく、恐らく、全国の投資家のほとんどがそういう投資をされていることが容易に想像できる。基礎編でもそういう投資方法はダメだと詳細に述べたが実戦編でも改めて強調したい。

 株式評論家の中には分散投資を勧める方が多い。確かに、分散することでひとつや2つの個別の銘柄の損によって投資金額全体に致命的な損は及ばない。しかし、目いっぱい資金を使って、たくさんの銘柄をもっていると損する銘柄と利益のでた銘柄とが相殺する形になり、はたして投資金額全体での投資成果は挙げられたのかどうか大変な疑問だ。恐らく、成果どころか損失になっているのではないか。

 分散投資をすべて否定するわけではない。相場全体が大底を入れたときに、一斉に戻ることがあり、そういう時には個別への集中投資よりも分散投資をすることが有効である。もっとも、全体が大底を入れた場合にはよい銘柄から買われるために、何でも買いというわけではなく、好業績、優良株などの中から数銘柄選んで分散投資することが大切である。

 しかし、投資家のほとんどの方は次のような株式保有状態になっている。

例えば300万円の資金では次のような投資方法をしている。

A株320円で2000株(64万円)

B株150円で3000株、(45万円)

C株260円で2000株(52万円)

D株650円で1000株(65万円)

E株450円で1000株(45万円)

現金29万円。

 これがすべて目標どおりの株価まで上昇すれば、300万円の投資成果が得られたことになり、めでたしとなる。しかし、現実は厳しく、現状は大抵次のようになっている。

A株250円(含み損14万円)

B株80円(同21万円)

C株240円(同4万円)

D株280円(含み益3万円)

E株300円(含み損10万円)

 D株を除いてすべて損という状態である。しかも、残りの4銘柄のうちC株以外の3銘柄は塩づけ状態で資金が完全に眠っている状態。その金額は154万円になる。その資金が復活するまでは残りの資金146万円で運用しなくてはならない。しかし、実際にはD株だけが動きをとれるために、97万円(残りの現金29万円とD株の68万円の合計)が動かせる資金となる。これでは300万円の資金を持ちながら実質的には100万円未満の投資家と同じことになる。

 分散投資はリスクを軽減させるために行う投資作戦であるが、実際にはリスクを多くの銘柄に乗せたことになっている。この例ではトータルでは113万円の損になっている。損をしないことを考える余り、肝心の攻める投資の方を軽視した結果、思わぬ大きな損になるのが、分散投資の大きな欠陥である。相場全体が右肩上がりの上昇期ならば含み損もいつかはなくなる可能性もあるが、不透明感の強い相場では含み損は広がり致命的な損になる恐れがある。バブル崩壊後の相場がまさにそれに当たり、この本を読んでおられる方々も多分その経験をお持ちだと思う。

 筆者は分散投資は戦略によって使うべきと考え、通常では理想は1銘柄に集中投資をすべきだと考えている。すなわち、攻めの投資作戦である。300万円をひとつの銘柄に集中することを基本作戦とするのだ。

 300万円がフルに生かすことができて、勝利したときの成果は大きい。また、投資の株数が、例えば、300円の銘柄ならばトータルで1万株(実際には300万円の投資資金では200万円にとどめる)というように大きくなるので、より以上に銘柄の選択を厳しくすることと損切りは厳格に守ることが絶対条件になる。

 この投資作戦で成果を挙げるためには、守らなくてはならないのはいきなり集中投資に入らないことだ。投資額の約10%程度の成果を得るまで100万円程度で止めて挑戦を続けることである。その時も損切りする水準の株価を買ったときに決めておいて、必ず、それを実行することは言うまでもない。その結果、30万円ほどの利益が得られてから初めてトータル200万円まで買う集中投資をするのである。

 その理由は集中投資に本格挑戦をした際に、失敗して損切りした場合に損失額が大きくなる。その前に先に一割程度の30万円分を無理せずコツコツと作り上げて330万円になってから本格的な一極集中の投資作戦をはじめる。そうして、なおかつ、200万円までの範囲で一極集中買いをするのである。現金130万円を必ず残しておく。そうして、50万円の成果が仮に得られたとしよう。すると、380万円に投資額は膨らむ。今度は250~300万円の投資金額で一極集中投資を実行するのだ。損きりの限度額は30~50万円というように決めておくことも大切だ。

そういう用意周到な作戦をすることで初めてリスクから身を守れるのである。集中投資の成果は大きい反面、リスクも大きくなるために集中投資に入る前の準備作戦と考えてほしい。

➁ 株価に分散投資を

集中投資を成功させるためには、更に、欠かせない条件がある。さきほども言ったように、300万円でひとつの銘柄に集中せよというのだから用意周到にして臨まなくてはならない。基本編でも言い続けているが、大事な資金を投資するのだから商売をはじめることと同じくらい準備を進めてから行動をとるべしということを思い出していただきたい。後ほど説明する銘柄の選択の重要性は当然であるが、300万円で一つの株価に集中してはならない。銘柄はひとつに集中するのだが、株価は分散させて仕掛ける。そこがまず、大事なポイントになる。「株価の分散?」と首を傾げるだろうが、つまり、こういうことだ。

 500円の銘柄があるとする。300万円で一度に買うと6000株買える。タイミングがズバリ的中し、そのまま、50円でも上がれば文句なしだが、必ず、そううまくいくとは限らない。そこで、とりあえず、どこまで下があるのかを想定する。まず、450円以下になれば手を引く。つまり、損切りすることを決める。それまでの範囲で押し目を狙うことにする。そこで、まず、500円で1000株を買う。そして、485円になれば、更に、1000株ナンピン買いする。(ナンピンとは難を平らにするという意味)上昇相場の押し幅の限界は直前の高値の7%押しといわれる。その限界値の465円か、その手前の470円で更に買う。そしてトータル3000株にする。このように、500円、485円、470円のように株価の値段を分散したことで、平均買値は485円となる。分散の途中で上昇しはじめた場合には、基本的には追撃買いをなるべく避ける。2000株でも、3000株だけでよいから、上値の目標(利食いの目標)や時間の目標(勝負をつける期間)がくれば売ることに徹する。

 値段の分散をすることで平均買値を485円のように当初の500円よりも15円下げて買うことができた。3000株でも145万円となる。200万円程度まで買ってもよいのだが、それ以上の追っかけをすることはない。下落して損切りのボーダーラインの450円以下になって投げると10万円程度の損失になるが、余裕で次の勝負にでることが可能になる。逆に、上昇した場合、1000株しか買っていなかった時よりも大きな利幅が得られることは言うまでもない。

 集中買いは大きな成果もあるが、リスクも最小単位での投資よりもはるかに高くなるために、損切りの際には、「売却すれば50万円の損になる」など損失計算をしないこと。「50万円の損で収まった」とプラス思考で思い切って処分することを常に、心に銘じて行動することだ。

 余裕をもって投資をすることは株式投資においてでも成功するための必須条件であるが、それほど慎重に投資行動を取れといっても、なかなか実行するには強い意志と勇気がなければできない。相当ひどい目にあわないとできないのが本音であろう。

禁じ手として、後で詳細に述べるが、仕手株(特定投機家グループが特定の銘柄に集中投資して、短期で実態無視して急騰させる銘柄)を買ったとする。ちょっとだけのつもりが、ヅルヅル引きずられて投資額全部をつぎ込んだとする。ある日突然、急落という事態に直面したときに「しまった」と思うはずだ。(当然、その瞬間に投げる)しかし、そう思ってももう遅く、かなりの値下りになっており、半値で最後は投げるはめになる。もしも、そんなときにでも、300万円の資金でも200万円ぐらいで常に運用していれば、そういう事態になっても再度、投資を続行できる。現金に相当余裕を持たせて売買するのは、いざというときのための「伝家の宝刀」の意味があるのだ。投資資金が1000万円を超える投資家の場合には1銘柄集中にこだわらず、2銘柄とか、3銘柄でもよい。しかし、最高3銘柄までに止める姿勢を貫くことが望ましい。要するに投資資金額に見合った株数をそろえる投資姿勢を常に、貫くことである。

③ 銘柄選択を厳格に

集中投資をするための重要な点を説明してきたが、最も重要なことは銘柄の選択である。一極に銘柄を集中して投資をするのであるから上がる確率の高い銘柄を選ぶことは必須条件である。誰かの話しを聞いて安易に投資するわけにはいかない。もちろん、これまで失敗の場合の逃げる方法も何回も説明しており、それを厳格に守れば大きな難を逃れることになるが、銘柄の選択を間違い続けていると損切りばかりしなくてはならない。それこそ、分散投資に逆戻りだ。

 銘柄選択はいろんな角度から決めることができるが、相場全体が低迷期でも確実に上がる銘柄はある。そういう銘柄はどういう銘柄なのかについてポイントを説明してみたい。

 基礎編でも説明したが、まず、業績を重視すること。前期の実績ではなく、今期の予想をみて増益かどうかが重要である。更に、来期も増益ならばなおさらよい。連続増益が要するにポイント。また、前期赤字で今期大幅黒字転換などのドラスチックな銘柄は100%上がる。ただし、債務超過や累積損を多く持っている銘柄は避ける。無配から復配する銘柄はなお良い。増益でも毎期判で押したような5%増益を続けている変化のない銘柄は上げる余地は小さい。世の中が不況でどの会社も減益見通しの場合にはそういう会社でも買われる。不況期に医薬品、食品会社

の銘柄が買われるが、まさに、それである。景気が回復、好調なときにはやはり、他社を圧倒するような大幅増益を見込める銘柄でなくては人気にならない。それに、増益だけでなくて、市場の話題を集める業種や技術、商品で増益になっているかどうか。例えば、今年のヒットや話題を集める商品に関係している製品をつくって大幅増益になるというのが最も人気を集めやすい。

 2002年から爆発的な人気になったデジカメやDVD(デジタル多用途ディスク)、2003年、今年の2004年に普及が本格化しはじめた薄型TVの液晶TV、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)の事業で高いシェアをもち業績を飛躍的に伸ばしている銘柄が最も化ける。

典型例が2002年から2003年にかけて株価が化けたタムロン(7740、ジャスダック)である。一眼レフのレンズ専業だ。2001年の12月期の決算は経常利益4億円余りだったが、2002年に28億円と4倍以上、2003年には55億円とほぼ倍、2004年も61億円と10%増益というように猛烈なピッチで利益を伸ばした銘柄である。それはレンズを製造していない三洋電機、ソニーなどがデジカメに参入したことや携帯電話にカメラ機能がついたことも重なってタムロンに受注が殺到し飛躍的な成長になった。株価は2001年12月決算の発表と同時に株価は上昇をはじめた。発表前の2002年2月の330円だった株価は10月に1000円をつけ、翌年の2003年に入ると上昇ピッチは一段と早まり、毎月高値更新を続け、2003年10月には6000円を超すまで買われた。実に、1年半で20倍に株価は化けたことになる。

 このように、業績見通しの劇的な変化と時流にマッチした商品をもつ銘柄は上昇は強烈なものになるという典型例である。後はどこで仕掛けるかのタイミングを計るだけである。それも後ほど買いのつぼというコーナーで説明していく。そういう銘柄をみつけたならば、勇気をもって対応すれば、大きな利益を得ることができる。

 このように、最強の銘柄の選択の例を挙げてみた。タムロンのような例はなかなか現れないが、昨年から続いている中国での鉄鋼不足で恩恵を受けた鉄鋼株も大幅な業績変化銘柄として2003年7月から2004年の4月まで何回も買われて高値を更新している。

 毎年、こうした話題の銘柄は登場する。2004年は夏までデジタル家電銘柄の活躍があるのではないかとみている。4~5月にかけて日経平均は急落し、デジタル家電の薄型TVで業績を大幅に伸ばすシャープなどもいっしょに売られたが、8月のアテネ五輪のころには改めて買われているものとみられる。半導体製造装置メーカーも2005年3月期の業績の見通しが明るく、いずれ、人気化するだろう。また、メガバンクも不良債権処理にメドをつけ、今期の収益回復は大幅なものになっており、
改めて評価されるであろう。集中投資をするためには、そうした時流に乗ることで収益を上げる銘柄を選んで実行すれば、大きな成果を得られるのである。

 株式評論家と称する方々はたくさんおられる。銘柄推奨をされない相場観だけの人もいるが、大抵は相場観とともに有望銘柄を参考に挙げる。ジャンル別に銘柄を挙げるのはいいが、30銘柄以上も参考銘柄を挙げる評論家がいると聞かされ、あきれてしまう。株式講演会にどの銘柄がよいのか分からないために、訪れる投資家がほとんどである。そこで、そんなにたくさんの銘柄を挙げるとどれを買ったらよいのかますます迷うことになる。投資家泣かせの評論家だ。そういう方は自分は「自信がありません」と無言で教えているようなものだ。証券セールスマンも同じで300万円の投資資金がありながら、どんな銘柄も最小単位で買わせて銘柄の数ばかり増やしてしまう。これも自信がないことを投資家に教えていることになる。筆者は講演会で銘柄を参考に挙げる場合、いろんな角度で調べて、「これならば上がるのではないか」と感じれば、イチ押し銘柄として強くひとつの銘柄を推奨する。同時に、2~3銘柄を参考として挙げる。最大でも5銘柄でとどまるが、時には本命とか、準本命、穴株などとマークをして分かりやすくしてあげる。それが折角、遠くから足を運んで聞きに来られた投資家に対するサービスだと思っている。

 時には、イチ押し銘柄が外れることもある(2002年の前半は外れることが多かった)が、引き続き信じてついてこられる方は挽回できるようにカバーする自信をもっている。そうでなければ、こういう実践論の指南書はかけない。話は少しそれたが、集中投資ができることで一度の投資による成果は飛躍的なものになることがお分かりいただけたと思う。これからは300万円の投資資金で一度の勝負で50万円以上の利益を得られることが不思議ではなくなるはずだ。

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