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9 急落場面での処理方法

いくつか銘柄をもち、全体の相場が一気に急落した。そんな経験をしたことは何回かあるでしょう。どうして切り抜けますか?最近では2003年の10月21日、今年の2004年の5月11日、5月17日とアッという間に下落しました。信用取引を活発にしている投資家にとって悪夢のような急落でした。そういう場合でも、ここで説明してきた通り現金に余裕をもって、常に全額を投資していなければ、危機を突破できる。どうすれば可能かについて説明してみる。

 例えば、1000万円で5銘柄を目いっぱい買っていたとしよう。そして、一気の急落がきた。そこで、自分が最も期待している銘柄(ナンピンをかけられるような好業績、好材料株でなければだめ)を1銘柄だけ残して後は大胆に全部売却する。損の前倒しをするわけだ。その結果、損失分250万円、1銘柄の投資額200万円で残りの資金が550万円回収した。この回収資金で1銘柄を追うのである。

 実例を挙げる。2003年10月21日の暴落で11月19日まで日経平均は13.6%下落した。その当時、筆者はジャスダックのアーク(7873)を推奨していた。推奨しはじめたのが6700円台であった。その後、7000円台を超すところまで上げたのだが、この急落の流れをまともに食らって、毎日下落し、6500円を割れ、6000円も割れ、ついに、5500円まで下落した。このとき、一貫して突っ込み場面はでは買い推奨を続けた。その結果、一部の投資家の方々から問い合わせがあり、そのたびに買い推奨の理由を説明し、それで納得いただいてナンピンをかける方々も目立ち、概ね、投資家は6400円程度の平均コストまで下げられた。好業績、分割含みなどの株高要因があるため、一貫してこの銘柄だけは残して、他の銘柄を処分して集中させなさいといい続けてきた。それを忠実に守っていた方々は翌年の1月からアークは上昇相場に転じてついに、8000円台まで上げる結果となった。そして、1→2株の分割の権利落ち後に4980円まで買われて事実上9960円まで買われたことになる。

 このように、急落場面では全部売却して殻の中に閉じこもって嵐が去るまで何もしないことが望ましいが、なかなかできるものではない。したがって、1銘柄だけを残して、その銘柄だけを追いかける作戦に転換し、その銘柄の戻りで取るという作戦にするのだ。その間、決してほかの銘柄がよさそうと思って浮気をしない。また、急落相場ではあわてて少し下がったところでの買いもしてはならない。ここまで下落するのかというようなところまで下落するものであり、じつくりひきつけて買いを入れることである。

 幸い下値に届いて戻りだした場合には一番高い買いからはずしていくこと。その売却資金も別の銘柄を買わないで、もう一回、揺り戻しの下落のときのために、置いておくのである。ドンドン買いコストを下げていくのである。そして、本格的な戻り相場が到来して大きく利食いを仕掛けるのだ。

8 塩漬けの処理法

 この項を設けたのは多くの投資家が投資額の大きな部分をどうにもならない株式をも続けており、その処分を放置したままにしているため、投資金額がフルに生かされていない実情があり、筆者なりの処理方法をアドバイスしてみた。

 Aさんは700万円の投資資金で次のような銘柄をもっている

銘 柄 株 数 買 値 時 価

C銘柄 1000株(450円)150円 

D銘柄 1000株(860円)425円

E銘柄 1000株(652円)260円

F銘柄 1000株(786円)333円

G銘柄 2000株(350円)230円

H銘柄 1000株(622円)124円

Ⅰ銘柄 3000株(324円)265円

J銘柄 1000株(525円)125円

現金170万円

株式への資金 556万7000円

時価 284万7000円

評価損▲272万円

というような状況になっている。どの銘柄も半値もしくはそれ以下という惨憺たる状況である。

 筆者はこのような投資相談を数多く受けた。この場合、「これは売りましょう。これは持続、これはナンピン買いしましょう」などといって細かく指導しても基本的にラチがあかない。そこで、「あなたはどの銘柄を最低限残したいのですか」と聞く。しかし、「どれがよいのか迷ってしまう」という答えがほとんどであり、結局、こちらが大筋を決めてあげることになる。

 そこで、CとEの銘柄は前期まで悪い決算だったが、今期は業績回復を見込めるため、売られすぎの傾向があるので、この2銘柄には5000株づつ買いましょう。後は全部処分して、現金化けして、この2銘柄の下値を買う資金として残すと同時に、次のチャンス銘柄のために使わないで残しましょう、というように指導する。

 すると次のようになる。

 銘柄 株 数 平均コスト 時 価

C銘柄 6000株 200円  (150円)

E銘柄 6000株 325円  (260円)

投資資金 315万円

残り金額 161万円

損失額 ▲224万円

 業績好調の目立つ2銘柄に投資した上に、買いコストが時価にかなり近づいたことは利食いのチャンスが生まれてきたことになり、これは塩漬け投資とは違う形になった。もしも、残った資金は後、30円下落すれば2000株づつ買うというように決めておき、決して他の銘柄に浮気してはいけない。この2銘柄が決着をつけるまで、じっと2銘柄と勝負していくことが大切である。好業績予想銘柄がそのまま全く戻らず、更に、売られるということは確率して低いために更に、売られた場合には勇気をもって買うことが大事になる。

 そういう考え方を更に、一歩進めて銘柄を一本絞ることも戦略として悪くない。CとDを比較してCのほうが業績面の変化率が高く、しかも、ヒット商品で伸ばしていることが分かれば、C銘柄に集中させることも一策である。

 また、自分の所有銘柄の中にそれほど魅力的な銘柄がない場合には、思い切って全株処分するのである。一見、大胆な処分のように思われるが、塩漬け銘柄は流れに完全に取り残された銘柄であり、そのままもっていても、投資効率が非常に悪い。一気に、処分して問う効率のよい銘柄に乗り換えるのである。そして、残った資金でひとつの銘柄に集中させる。一極集中の方法はすでに集中投資の項で説明したとおりである。銘柄の選択を重視して、すべての資金を一気に投入しないで、タイミングをみながら、株価に分散投資をし、かつ、現金を最後に30%残して買う方法である。もちろん、損きりの設定などを忘れてはならない。

 1000株づつ多くの銘柄をもつことはリスクの分散ではないのだ。ただ、どの銘柄も自信がなくて、中途半端になり、結果として「損の分散」をしただけなのである。

 株式投資は時には自信をもって大胆に、そして、「しまった」と思えば、即、問答無用で電光石火の退却をしなければならない。また、慎重に行動を取り、静かに上がるときを待つというしぶとさも必要である。そうした臨機応変の対応をしなければ、激しい流れの株式投資で成功することは難しい。

 投資銘柄の組み合わせによる投資作戦でもよい。①本命銘柄と材料株、低位株など目先の銘柄の組み合わせ、②ハイテク銘柄と内需銘柄の組み合わせ、③日経平均採用銘柄とそれ以外の銘柄④一部市場銘柄と新興市場銘柄の組み合わせなども投資作戦として有効である。ただし、組み合わせだからといって、3~5銘柄を超えて保有してはいけない。それぞれの銘柄の勝負が決着して次の銘柄を買うことをしなくてはいけない。その意味で株式投資はマージャンと同じだということをいっている。

ひとつ入れば一つ出て行く方式である。

それも塩漬けを防ぐ方法である。すでに、これらのことは再三にわたって説明済みで蛇足と思われるが、それでも、理解できないで、依然として失敗を繰り返すものなのである。「言うは易し、行なうは難し」であるが、勇気をもって行動を起こすことができるならば、過去の失敗は防げるものと信じている。

7 売りのつぼをみる

①、噴けばとにかく売れ

買った銘柄が調子よく上がっているときほど楽しいことはない。人間の株式投資での心理の移り変わりは知らない人からみれば、そううつ病にかかっているのではないかと思われがちである。上がれば一人でニコニコして、「何かいいことがあったの」と聞かれて「いやまあ・・・へへへへ」と株が上がっているからと言えないために、ついついわけの分からない表現になってしまう。へんな人とみられるが、それでも平気である。しかし、買値を下回ってしまうと突然、機嫌が悪くなり表情も固くなる。周りの人もついつい遠ざかる。一人で悩んでしまう。そういうことを繰り返し、結局、株価が上がりだすと今度は「どこで売ろう」と悩んでしまう。はじめにここで売ろうという目標を決めておけば、悩むこともないが、漠然ともっていると上がりだすと逆にうろたえてしまう。上昇基調に入りはじめると、株価は波のように上げ下げを繰り返していく。はじめは小さな波、そして、少し大きな波、更に、大きな波となって、最後は津波のような波で上昇基調が終わる。つまり、最後の波は最も大きい波になる。

2004年3月20日からの合同製鐵を例にとってみよう。安値189円が3月11日高値231円まで上げて、3月19日の211円安値まで調整。上昇率22%。

これが小さな波。そこを基点に3月30日に275円の高値まで上げて一服。少し大きな波。上昇率30%、そして4月9日から4月15日となり、40%上昇率。その間に4月14日には1日で瞬間70円高を演じており、噴き値となった。

その噴き値こそ売りのチャンスなのである。合同鉄鋼はこの噴き値が幸いにも2回もあり、極めて珍しい例である。しかし、それが終わると一転、急落し5月17日に269円まで下落している。

噴き値をみれば、躊躇なく売りをかけることを忘れないように。買い乗せするなんてとんでもないことである。

②、保ち合い下っ放れは問答無用

上昇基調を続けて、しばらく高値圏でもみ合う場面がしばしばみられる。それを中断もち合いと呼ぶ。買いのつぼの項の④で説明したとおりであるが、上に放れた場合に買いとなるが、下に放れた場合には売りとなる。下限の株価を割り込んだ瞬間に即、売却である。一気に下落したのち、戻ってももち合いの下限までであり、即刻売り姿勢で対処すべきである。「戻れば売ろう」などと悠長なことを考えていてはダメ。

③、上に行くほど株数減らせ

 上がり出した銘柄は人情的に「もっと買えばよかった」と思うものだ。誰でもそう思う。多少、上がったときには思いきって買いに踏み切ることがある。こわごわ買うが幸い、多少のブレがあっても上値を追う流れが続き、ドンドン上がっていったとする。そこで、まだ上がるのではないかと利食いではなく、買い乗せを敢行する投資家が結構、多い。筆者からみて危なっかしくてみていられないという行動だ。

 300円で1000株買い、330円で更に2000株、360円で2000株というように買い乗せて、ついに、400円では3000株も買う作戦を実行したとする。合計8000株で平均コストは360円になる。右肩上がりの相場では何ら問題がないが、波乱相場になればどうなるのか。平均コストは360円なのに、400円の買い値が気になって、400円前後で株価がモタモタすると売却しづらくなってしまう。そのうち、380円を下回ると頭はパニック状態になってしまう。何も損しているわけでもないのに大損

をしたような錯覚に陥る。そう言うときには、これを売ろうとかあれを残そうとかしないで、一旦、全部売却して清算することが望ましい。

 多くの投資家は一番利食いできる300円の銘柄をとりあえず利食いする。というように、利食いできるものから順番に売っていこうとするものだ。売却のテクニックは一番高い株価から外していくのが最も理想である。その理由は持ち株のコストを下げる必要性からである。300円の株価を売却すると残りのコストは368円と高くなる。330円を売ると384円になってしまう。株価が下落するとコストを下げること

が退却する際に重要になってくるのに、コストを上げてしまうことになる。最悪の場合、損きりを覚悟しなければならない。そんなときに備えて、コストは下げていかなくてはならないのだ。したがって、売却や退却を実行するときには高い株価から処分していくことである。この場合には400円から処分していく。トントンか若干の損がでてもコストが下げられる。400円を売却して336円まで一気にコストが下がる。多少、株価が下落しても問題がない。余裕をもって株価をみていることができるのである。人間、余裕ができると物事がよく見えるようになる。ここで売りとか、というような冴えが生まれて結果として投資成果が上がる。

 このように、株価上昇につれて買い乗せを実行することは悪いことではないが、上にいくほどコストを意識して行動をとる。
投資金額の現金の限度いっぱいまで買うようなことがあれば、高い株価から処分し、コストを下げること。決して実行してはいけないのは現金がなくなったからと言って信用取引で更に高い株価を買うことである。信用のコストが一番高くなることは自殺行為だと思うこと。一旦、相場が下落に転じると信用の含み損が急激に膨らみ担保切れになる恐れがでて、損の広がりが想像以上に膨らむことが現実化する。そういう目にあわないように信用取引で絶対に高値を買わない。

④、全員が買えば天井

 株価は静かな動きから始まって、先ほどの津波みのような怒涛の波で終わる。静かな動きの時には投資家の1%以下の極少数の方々が買う。そして、小さな波になれば5%くらい、中くらいの波になって20%、大きな波になって40% ぐらいの人たちが加わって、合計65%が買う。天井圏内では合計80

%の投資家が参加する。そのころには誰に聞いても強気の意見がでる。つまり、ほとんどの人が参加したため、続いて買う人たちが少数派になり、すでに買った投資家の分を吸収できずになって、反落に転じる。

 筆者は比較的早く銘柄を発掘することに生きがいを感じている。ほとんど動きのないときに執拗に推奨して、大きく動くころには全く推奨しなくなる。すなわち、誰もがその銘柄に関心がない参加者がゼロに近い時に推奨する。そして、5%、10%、30%というように増えていく。そして、大きな相場へと発展していくことが投資家のためになったと思っている。

 業績の大幅な伸びを見込め、それが、時流に合う製品によるものについては動きが小さいときに推奨していれば必ず、上昇するのである。筆者はそのセオリーどおりに推奨し、大きな相場に結果として発展した。

 このように天井圏に近づくほど株価のうねりは大きくなり、出来高も大きく膨らんでくる。自分の買った銘柄が気持ちよく上がりだしたならば、それはほとんどの人々が参加したものとして、逆に、逃げることを考えなくてはならないのだ。それを逆に人気があるから買うと判断するから負けてしまうのだ。人気絶頂の時には後ろ髪が引かれる思いであろうが、かならず、処分すること厳格に守ってほしい。

 売却は何回もいうが、最初に目標値、時期などを決めておけば、迷うこともない。目標の株価、時期を明確に決めることが自分の身や財産を守り、かつ、増やしていける道なのである。

⑤、前の高値を抜けない

上昇してきたにもかかわらず、前につけた高値を抜けずに、上昇トレンドを下に割り込んだ場合には売りを敢行するか、一旦、撤退を考える。一貫して続いた上昇パターンが崩れたことを意味しており、むきになって持ちこたえることもない。このトレンドは移動平均線にも通じる。いわゆる、25日移動平均線を割り込んだ場合には売りとされているが、それと同じ意味と考えれば好い。二番天井をつけたという意味で毛抜け天井、三尊天井、ダブルトップなども同じ意味である。これが日足の場合には、3週間程度調整して改めて、高値に挑戦する動きがあるので、それまで、待てば高値更新のチャンスもないとはいえない。週足で形成したならば半年などという長い時間も覚悟しなければならないことも注意。

⑥、売り判断のチャート

買いサインのチャートを先ほど紹介したが、今度は売りのサインについて紹介してみた。これも、絶対的でないので、状況によっては売った後にしばらくして買いになるケースもたたある。あくまでもタイミング判断の参考にすることが望ましい。

A、大黒線。図は昨年2003年10月15~24日までのソフトバンクのチャートである。10月22日に7250円で寄り付き瞬間7300円高値をつけた後、踏み板を外したようにドーンと急落。アッという間に6140円まで叩き込まれ、6400円で引けている。前日比720円安の大陰線となった。10月15日5400円から一気に2000円の棒上げで天井をうったとたんこの大陰線をみた。この大陰線こそ、不吉な大黒線と呼ばれ、大天井を知らせるものである。めったにでない線だが、急騰が続いた後に一気に出現する。これがでれば、問答無用の成り行き売りである。妙な指値をすれば取り返しのつかないことになりかねない。

B、三空は売り。買いのところで説明した一空のように、株価に連続性がなくなり、一気に値が飛んだ場合を空とかマドと呼ぶ。図のように3つのマドが開いた場合には買いではなくて、売りになる。株価の習性として、マドは埋めにくるものであり、3つも短期の間にマドが開けば、反落する確率が高い。したがって、一旦、売りとなる。

C、陽の陰はらみは売り。相当上昇して長い陽線がでた翌日にその中で陰線がはらむ形になった。そして、更に翌日に下に放れた。売りのサインである。大陽線がでて、「さあ、これから」と気分を浴した直後に、売りのサイン。ガックリするが、心を鬼にして決めざるを得ない。このチャートは上昇中に何回もみることがある。連続陰線となることもある。その際には若干調整した後に改めて直ることがある。その意味で決定的な売りにはならない。しかし、大きく上昇した後のこのパターンは退却を要する。

D、かぶせは売り。これも相当上昇した後に出る売りサイン。陽線の翌日、買い気配から始まって高く寄りつき、「さあ、今日も上値を期待できるぞ」と思わせて、大引けにかけて、急落し大陰線となった形である。なんだか、頭から殴られたようにみえる。これをかぶせの大陰線と呼ぶ。不吉な陰線で即刻、退却し手仕舞う。

E、三羽烏は売り。高値圏で小さい陰線が連続して3つ続く形を三羽烏と呼ぶ。カラスが三羽だから不吉である。小幅連続安であり、なんとなく気にしなくても良いと思われるが、後で、大きな陰線がくることが多く、危機が迫る前触れのサインとみるべきである。

これと似たようなサインで三手を待てという形がある。三羽烏と似ているが、これは3つ陰線が出て陽線がでれば買いというサインになるので、押し目買いを意味する買いのサイン。決定的な違いは陽線の上から差し込む形で最初の陰線が入ったのが、三羽烏。それに対して、三手待ちは陽線の上から陰線になっても、陽線の実線部分に入り込まないで引けた形になっている。差し込まないで終わった姿が大事な点である。

F、急落途中の大陽線は売り大幅な下落が始まって、一旦、大陽線が入る。逆襲線である。これが出れば逃げそびれた助け船と思って、その戻りを売ることである。大陽線がでて「明日こそは高い」と思って、その陽線がでた晩に一杯機嫌で呑みにいけば、翌日には青い顔をしなくてはならなくなる。

G、上値で陽線3~5本は売り。上値でこの形がでると上伸力が弱いと判断して、即刻売る。このチャートがでている間は急落がないが、間もなく急落という暗示になる。陽線が続いてでているだけに、明日は高いと誰しも思うが実は逆であり、早々と始末することが大事である。

H、上っ放れ十字は売り。相当上昇して、更に、大きな陽線が出現した後に、十字足がぽ~んと離れた位置に出た形を上っ放れ十字と呼ぶ。翌日、放れた方向につく。しばしば天井形成に現れるチャートであり、注目する必要がある。

 以上売りのチャートの主なものだけをとりだして説明してみた。いろんな売りがあるものの、基本的には好材料を織り込んでいく過程で、需給のバランスが崩れるときがある。バランスが悪化する場合を売りと呼び、好転する場合が買いというサインになる。したがって、チャートをある程度みておれば、需給の現状がよく分かり、材料の織りこみ具合いも比較的つかみやすい。 

6 買いのつぼをみる

①、とにかく買え

 買いと判断するパターンについて説明していく。これはあくまでも、誤解のないように言っておくが、100%確実な判断ではない。概ね、過去の経験則からいって買いに分があるとみられるものについて説明するもので、それを理解した上で頭に入れてほしい。

 株価上昇の条件を何回となくお話してきたが、ここからは実戦的にどういう時が買いのチャンスになるかについての具体的に説明していく。チャートの判断が加わる。

 まず、第1番目には「とにかく買え」ということである。講演会で証券会社の演者が「この銘柄が今後、期待できそうです」と参考銘柄を上げられることがある。3銘柄程度挙げる演者もおられる一方で20も30銘柄も挙げる方もおられる。その中から自分がもっとも好さそうだと思う銘柄を選ぶ。それが400円の銘柄だったとする。実際、買う段になると390円くらいの指値をする投資家が結構多い。たまたま、その銘柄が上がり420円ぐらいになった。それでも390円で指値をするが、買えない。そして、450円、480円と上がりだす。買えない銘柄はよく上がるもので、そのままあきらめてしまう。そういう経験は必ず誰でももっていることだろう。折角、買うと決心した場合にはケチな指値などせずに、とりあえず、成り行きで買うのである。もちろん、いきなり、大量に買うことさえしなければよい。3000株買う予定であれば、とにかく1000株を成り行きで買うのである。そうすることでチャンスを逃すことだけは最低限、防ぐことができる。あらかじめ、損きりする水準を決めておくことで大きな損を防ぐことができる。買うと同時に利食いの目標、期間、損きりの水準を決める。それはこれまで何回も指摘してきたことである。それさえ、守ればどんな銘柄でもこわくないのである。あいまいな感覚で投資をしようとするから妙に腰が引けて買う前から負け勝負のような買えそうもない指値をするのである。売買に対してハッキリとした姿勢さえ示していれば何も恐れることはない。

②、何回も指値変えしない

 前項で変えそうもない指値をして儲けるチャンスを失った場合に、改めて、追いかけて指値をすることがある。例えば、400円の時に390円の指値をしたが、420円まで上がってしまった。そこで、410円で指値をする。すると、440円になってしまった。そこで、430円で指値した、というようなケース。

こういうストーカーのような追っかけ指値は必ずしもよい結果を招かない。結局、その銘柄が調整期に入ったときに買えることになる。一番、値上りの順調なときに買えず、止まったときに買えるということになるものだ。

 すなわち、旬のタイミングを失って買ったということだ。一瞬、いい女だと思っても、デートになかなか誘おうとしないでなかなかできないで、かなり時間が経ってデートを申し込んでみると結婚していた、というようなものである。即、誘ってみれば早くあきらめ、次のいい女を探せたのに無駄な時間を費やしたようなものである。

 銘柄の買いのタイミングをずらしてしまったことになるので、そういう買いはしない方がよい。

③、初期波動につく

 長い間無相場や下降相場の後、3ヶ月くらい下値で揉んだ銘柄が揉みあいのゾーンを抜けたときには積極的に買う。こういう銘柄は冬眠から覚めた銘柄であり、じっくり、ゆっくりと上値をジリジリ追いかけて、時間が経つにつれて、上昇ピッチが早くなっていく。目先的に儲けようというよりも3ヶ月先をメドに利食いを考える作戦が望ましい。

一例を挙げよう。新光証券は2002年11月に110円の安値をつけて底入れした。その後、120~150円のボックス相場が2003年5月まで続いていた。6月に入って4日目に一気に169円まで急伸し、ボックスを抜けた。その後180円前後で6月中旬までもみ合った後、213円まで上昇し、7月には315円まで上値を追った。これは株式相場が5月から活況になり、証券会社の業績回復が相当見込めると予想されて、急騰しはじめた。底入れから6ヶ月余り経過してからの初期波動であった。非常に豪快な展開を初期波動からみせたが、通常はもっとおとなしいボックス抜けになるケースが一般的。その抜けたあと、必ず、一旦、ボックス圏の上値あたりまで押す。それを出る杭打たれるというと呼ぶ。そこが買いチャンスになる。比較的確実に成果を得られる動きであり、日ごろから長期もみ合い銘柄をいくつかマークしておき、動きにつくことが望ましい。

④、中段もち合いの放れにつくこと

相場が材料を織り込みはじめ、上昇に転じたとする。材料の大きさによって上げ幅は違ってくるが、1~3ヶ月で15~30%以上上昇した銘柄が一旦、天井をつけた後、大きく下落しないで高値圏内でもみ合う場合がある。それを中段保ち合いと呼ぶが、1ヶ月半から3ヶ月その状態が続いた後、再度高値を更新し、その後も上値追いが続くパターンが時々みられる。中段での保ち合い状態から放れるときは積極的に買う方針でよい。タイミングの取り方としては高値を大きく抜いた後、一旦、反落する。そのところを待って買う作戦がよい。もちろん、相場のチャンスを逃さないためにも、高値を抜いた時に、少し買う作戦も悪くはない。

一例を挙げる。2003年12月22日にハリマ化成(4410)は600円の安値から本格上昇をはじめ、2004年2月2日に760円まで上げて、反落する。その後、3月25日まで690~750円までの間で調整を続ける。26日に760円の高値を抜いて、一旦、734円まで反落して、4月20日の892円まで上昇を続けた。中段保ち合いの期間は1ヶ月半余りである。

そういう展開にうまく乗って利食いを考えるメドは5~10%程度の確実な利食い目標でよいのではないか。妙にツメを伸ばさないことである。スタート時のように勢いがよい場合ではなく、最後の残り福をいただく投資になると考えたほうがよいのである。深追いは禁物である。大きく上放れてもそこからモタモタしはじめると一旦退却も考えてよい。

⑤、押し目はマド狙い

 一気に材料が飛び出して、大量の買い物を集め、いきなり300円の株価が50円高という展開になることがある。すなわち、300円の次の株価が350円ということになる。301~349円の部分が飛んで株価の連続性が失われたことになる。株価は不思議なもので連続性にこだわる一面があり、後日、この部分をとりに来る習性がある。飛んだ部分をマドと呼ぶが、それを埋めてあらためて上値を追うことが多々ある。したがって、急騰して大きなマドを空けた場合には、そのまま更に上値を追っても、あわてずマド埋めの少し手前の水準で買う待ちの姿勢で対処することも一策である。ただし、マドを埋めてそのまま下にいくことがあるので、その場合にはこだわらず、一旦、退却することを決めておくこと。

一例を挙げる。2004年3月25日の富士通は627円で終わった。翌日、26日にはいきなり大量の買い物を集めて、651円で寄り付き、645円の安値をつけて659円で終わった。627円と645円の間にマドが開いたことになる。株価は4月6日に698円まで上げたあと、反落し、4月19日に628円まで下落した。これによって627円とのマドが埋まったことになり、マド埋め完了となって、株価は20日から上昇し、5月6日に782円まで急騰している。

典型的なケースであった。このように、一気に急騰してもあわてることなく、マドを埋めにくるまで待ってみるのだ。ただし、マドを埋めにくるといっても、2~3日の短期的な場合がある一方で6ヶ月後に埋めに来るものもある。相対的に3ヶ月以内に埋めにきた銘柄は上値追いのケースが多いが、あまり、長いマドは必ず上昇するというものではない。むしろ、相場が終わった結果、マドを埋めに来たというケースになる。やはり、上昇時期の若い相場の場合にマドを埋めたところを狙うのが作戦として良いように思う。

⑥、急騰後の初押しは買い

好材料が出現して、それこそマドを開けて急騰した銘柄の初押しは買いのチャンス。先ほどの富士通の例も急騰後の初押しがたまたまマドまで押して買い場を与えたことも意味する。いきなり、急騰するとそれまで長くもっていた投資家がやれやれということであわてて売ってくる。その反動が初押しという形を形成するのである。出来高が膨らんで急騰したことは大幅増益見通しか、増額修正か、大幅分割か、増配か、業績を刺激する新技術か、大型提携か、アナリストの買い推奨(レーティング格上げ)などのいずれかの場合が考えられる。それ以外の急騰劇は大口投機筋(仕手筋)の参入か、表面化かしていない材料の事情通の買いなどブラックな一面が理由になる。理由のハッキリしない急騰劇はなるべく避けることである。増額修正などを発表してそれまで大きく上げていない場合の急騰は初押しを待ってからでも遅くない。待っている間にジックリと材料の大きさを検討してどのくらいまで期待できるものなのかを考えておくべきであろう

⑦、高値更新は一旦、乗れ

株価が上昇を続けて、今年の高値をめでたく更新したとする。昔から「新値につけ!」といわれる。高値更新した銘柄はその後も上値を追うといわれている。絶対にそうだという断言はできないが、状況によって確率の高い成果を挙げられる。

高値更新のパターンとして、A、一気に抜く、B、じわじわ抜く、C、ほとんど高値と同じ位置でとまった、という3つのケースが考えられる。

Aの場合、抜いた後で一旦反落しても前の高値のところで止まって、反発した場合。これは素直に買い姿勢でよい。また、前の高値を下回っても上昇トレンドが25日移動平均線を割り込まないで、反発した場合。これも、買いに分がある。抜いてから反落し、前の高値も下回って反発もなく、もみ合いに入りだした。これはクドクなるため、見送りが賢明。Bのケースについても基本的な買いの姿勢は同じとみられる。Cについては二番天井になるケースもみられ、上値追いになるかどうかは状況による。相場全体が上昇基調にある場合には上値期待をもてるが、下降局面では見送りが賢明ではないだろうか。

いずれも、相対的な意味での売り買いの判断になるが、その銘柄が非常に大きな材料をもっている場合には目先の動きにとらわれず高値更新後も上値を狙えるとみて持続する方針でよい。また、自分が何となく上値を買う自信がないと感じたときには無理をせずに買いを見送ることでよい。

⑧、大底圏では二回目の安値で買いを入れる

大きく相場が反落しはじめ、戻っては大きく売られ前の安値を大きくしたまわり、また、戻っては大きく安値を更新するパターンが繰り返されていくが、どこかで大きく反発に転じて、再度売られても、前の安値近辺で止まるか、下落してもそれほど安値を更新しない場面が現れる。森精機、日産、三菱電機の大底入れのパターンを示した。Aが一番底で一度、Bまで大きく反騰して、Cまで反落するが、Aと大きな差のないところで止まり、改めてDまで上げて、ダメ押しのEをみて、上値追いになったところで買い出動する。

この3つは大底形成の典型例であり、急落場面での買いのタイミングを教えてくれる。この3銘柄ともにAとEまでの時間は1~2か月程度である。

2004年5月に急落相場があったが、一番底は5月17日になると仮定すれば、もう一段の底入れは6月14~18日辺りになるが、下落ピッチが早いことを考えるともう少し早く底入れとなってC、Eを確認できるかも知れない。

⑨、ストップ高は買いか売りか

ストップ高は投資家にとって最高の喜びといわれる。その日の上げ幅の限度まで上げることをストップ高と呼ぶ。株価の値段によって、決められている。100円台であれば50円、200~400円台では80円、500~900円台では100円、1000~1400円台は200円、1500~1900円台は300円というようになっている。

何しろ限度いっぱいまで買われるために、そのチャンスにめぐり合うことは少ない。それだけに、経験するだけで大きな喜びになるのだが、筆者に言わせれば、ストップ高はあまり良い現象とは思わない。なぜならば、相場のリズムを壊してしまう出来事と解釈しているためだ。「ストップ高は明日の値段まで買う」ともられる現象で、翌日もストップ高を続けたり、大幅に買われることは意外に少なく、翌日には高値で寄り付き、後は値をくずすことになる。仮に、値を保ったとしても3日目からはくどいもみ合いに入ったり、反落するケースが多い。ストップ高よりもそこそこ値上りを続けるほうが上げるリズムが守られているため、結果としてストップ高の値段よりも数日のちに上回ることになる。

それでは、ストップ高は売りか、ということになるが、そうではない。ストップ高は強烈な先高暗示の意味もある。それまで、あまり買われていなかった銘柄が意外な好業績発表をキッカケにストップ高で一気に流れを変えることがある。そういうオープニングセレモニーのような役割りを果たすストップ高は翌日からの反落ということを気にしないで、とにかく、少しでも買うことが望ましい。業績が予想以上のように収益を一変させるような場合や大幅分割、大幅増配などの刺激的な材料の場合にはストップ高は恐れることはない。一旦、調整に入っても、のちのちストップ高よりも数段高い水準まで株価は到達するものである。一過性の技術だけを材料にしたストップ高はその後の値もちも悪いことが多いので見送りが賢明であろう。

売りのケースは相当相場が上昇した後に、ストップ高となった場合である。上昇し続け、それまで買いを見送っていた投資家が辛抱しきれなくなって、ワーと一斉に買い付いた時にたまたまストップ高になってしまったと判断すべきで、相場は仕上がったと解釈すればよい。それまで、その銘柄を持っていた投資家は一旦、売却すべきであろう。要は急騰期の判断を考えればよい。

⑩、チャート上での買い判断

A、かぶせを取る。図のようにかぶせを一気にとる場合に

は、悩まず買い姿勢。この勝利の確率は非常に高い。筆者が10パターン以上調べたところ全部、その後、上値を追っている。

B、上値遊びにつけそこそこ上昇したところで、図のような形になった状態を上値遊びという。大陽線の上のところで小さい陽線、陰線がいりみだれてもみ合っている。この場合6本程度からはなれるのが理想とみられるが、最大、12本までに、放れなければ上値遊びとは呼べない。単なるくどいもみ合いである。これも放れると上値追いがしばらく続き、確率の高い買い判断である。

C、突っ込んだ後の十字足。下落基調を続けていた株価が最後に大幅な下落になった時に十字足が出る。これは天底の兆しとして昔から転換線と呼ばれている。大幅安の時には買い、大幅高が続いた後にでれば売りというようなことだ。小さな動きの時には特に、売り買いの判断はしない。この従事の場合には、短期的な上昇を見込めるもので、一旦、戻した場面はすばやく利食いすることが望ましい。

D、陰の陰はらみ。相場が大きく下落したところで、長い陰線に小さな陰線が並んで形で重なった状態を「陰の陰はらみ」と呼ぶ。一見、更に下に向かうかのようにみられるが、底値形成の形をとる場合が多い。その後、反発を確認してから買う体制を・・・。

E、赤三兵。下値で長くもみ合っている状態にしばしば表れる買いチャンスを暗示するめでたいサイン。これは目先的には大きな上値を期待できないが、中期的には30%以上の値上りを期待できる。

F、やぐらは大相場の兆し。これも大底圏で現れるチャート。矢倉を構成するよう二本の柱の形のように長い陰線と長い陽線によって底入れ形成する。このチャートはなかなか現れないが、現れると問答無用で買いになる。上昇確率は100%近い。30%以上の上昇幅を狙える。

G、一空は積極買い。空とはマドのことである。マドはすでに説明したように、前日の株価との連続性が途切れて、空白部分が生まれる状態を差す。いきなり寄付きから大量の買い物を集めて、飛んだ状態である。買いの勢いが強いことを暗示しており、その熱気はしばらく続くことになる。「もう高い」と思ってあきらめずに、勇気をもって買う作戦でよい。最初のストップ高を狙うということとよく似ている。しかし、2つ目の空、3つ目の空は買うことは賛成できない。また、1空であっても、相場が相当上昇しているところでは新規買いは見送り。その銘柄をもっている場合には一旦、売りを考えることも一策。

H、並び赤は上伸を暗示。相場が上昇過程にあって、ちいさい陽線がふたつ仲良く並んだ状態をいう。これは必ずしもそれ以後、上値を追うとは限らない。確かに、上値を一旦、追っても利食いになるかどうか確実だとは言いきれない。70%くらいの確率で上値を見込めると解釈している。このチャートがでて翌日、買い物からはじまれば上値追いとなると覚えておくのがよいでしょう。

I、下値で陽線3~5本これも大きく下落した後で、すぐには反発しないものの、寄り付きは売られて引けにかけて戻すという攻防戦を3日以上繰り返した場合には底値と解釈して買い支持のチャートになる。しばしば間違うのが、買われて高い位置でこれが現れると天井形成の兆しと解釈するので、売りになる。要するに、天井近くでこうしたもみ合いがでると買っても買っても高値をとれないという現象になっているとみて、天井近しを知らせていると判断し、迷わず売ること。次の項の売りのつぼで説明する。下値で陽線3~5本は文字の通り、相当下値でこういうパターンがでなければ、買いとは解釈しない。よくその違いを解釈して覚えておくことだ。

J、化け線は底入れ近しを暗示。下落基調が続いている時に、突然、大陽線

が飛び出して、「スワ、底入れ」とみて、慌てて買いに走ってはならない。この線は底入れではないが、長らく続いた下落基調もそろそろ終わりに近いことを知らせてくれる。この化け線の寄り付き当たりまで再度、反落してから仕掛け始める。それを下回っても下値はたいしたことはない。3回くらいに分けて買えば、まず、底値で買える確率が高い。

 以上、チャート上での上昇確率の高そうな主な買いサインを示すものを挙げて説明した。もっぱら、4本足の日足を基本にみて判断することが原則である。これ以外にもチャート上での買いサインはあるが、あまり、細かい買いのサインを取り上げてみても意味がない。ことわって置くが、買いのサインがでたから後は大船に乗った気持ちで儲けの計算などをしながら待つという心境になってはいけない。上昇次第では数日で売りのサインがあらわれて、一転して、地獄へ突き落とされることもないとはいえない。そういうときに、自分の買った銘柄の中身はどうか、という銘柄の良し悪しが即刻売りになるのか、突っ込みは買いになるのかの分かれ道になる。だから、チャートだけで判断していると目先的な動きだけで行動をとるため、大きく利益をだせるものでも小幅の利益に止まってしまう。

 あくまでも、チャートはタイミングをみることに重点を置いて活用することである。

5 チャートの使い方

 最近はパソコンを利用した株式投資が盛んになり、いままで自由に活用できなかったデーターで投資が可能になった。特に、チャートは従来のロウソク足から移動平均線、サイコロジカル、一目均衡、ストキャスティック、新値足、逆ウオッチなど手間ひまかけて作成していたものが簡単にみることができるようになった。中には独自で開発した秘法と呼ぶ(勝手にそう決めている)ものを開発して投資家に売り込む会社もあらわれるなど、パソコンを使った投資作戦は身近なものになった。

では、それを武器に株式投資をした場合に投資成果は大きく上がったのだろうか。なぜか、大儲けしたというような話をあまり聞かない。それはチャートによって株価が動いていくのではなく、株価の動きの結果がチャートになって表されていることを案外、知っていて理解できないでいることが原因ではないかと考えている。それでは「チャートは役に立たないのか」と思うのも早計である。チャートは使い方によっては大変役に立つ。それだけはハッキリといえる。筆者は40年近く株式を研究している。毎日、150銘柄の日足を書いている。毎日引っ張っていると細かい相場の変化を読み取ることができるようになる。特に、大きな変化が起きるときにはその暗示が随所でみられる。そのため、毎日が楽しい。最初の頃は怠けて3か日分をためたりして、肝心の変化の時を見逃すなどの失敗もあったが、今ではパソコンで四本値をみられるおかげで毎日、1時間30分あまりで日足を書くことができ、楽になったものだ。

「パソコンの日足を使えばそんな苦労しなくても良いのではないか」と言われるかも知れないが、一銘柄づつ毎日、書くことでボチボチこの銘柄のチャンスが近いことが分かるのである。パソコンに頼るとどの銘柄がその変化をしているのかがわからない。ひとつひとつ確認しなければできない。同じ銘柄を毎日書いていればこそ微妙な動きが分かるのである。すなわち、上がる寸前のヒントを与えてくれるのである。

出来高も毎日書いているので、需給関係と株価の動きが同時に分かる。市場で起きていることが、動きと出来高をみればピンとくる。何か水面下で起きていることを株価は時には教えてくれるのである。そして、そういう銘柄を調べてみる。

今までと違う何かが、その銘柄に起きているから、変化が生まれているのである。実際、増額修正が近いこととか、新しい材料がでる前にチャートに小さな変化が生じて表れることがある。そのときには何がそうした動きにさせたのかは分からないが、しばらくして、増額とか、新技術とか、画期的な製品、あるいは、合併とかの資本移動の材料などが飛び出して、その理由が明らかにされる。チャートが先に教えてくれるのである。また、そういう材料が飛び出してから、どのくらい相場を押し上げるのかをジックリ調べて、改めて、チャートをみて、買いのチャンスはどの辺りかをメドかも参考にできる。

チャートは何か見えないところで変化がおきていることを教えてくれたり、材料を織り込んでいく流れの中でどの辺りで買ったり、売ったりできるのかを判断するために使うのである。したがって、チャートはその銘柄のもつ業績や材料をその銘柄にふさわしい水準まで株価に織り込む過程を表したものといえよう。何にもせずにチャートの法則だけをみて、どういう材料があるのか、業績などの動向をみないで、判断するのは成功することもあるが、賢い使い方とはいえない。

そういう法則だけで売り買いをしていると大きな相場も小さな相場も同じ幅しかとれない。材料などを判断して、これは、大きな相場に発展すると判断した場合には少し上がったからといって、一喜一憂しない。大きな相場に発展する材料をしっかりと把握することがはるかにチャートだけの法則だけの売買よりも成果が大きくなるのである。

あくまでも、チャートはタイミングをみることに主眼をおいてみることである。

4 確実な銘柄選択

① 増資期待銘柄を狙え

先に、銘柄の選択の基本は好業績で時代にマッチした製品や技術で好業績のものはなお良い。それと需給関係の良い銘柄、そしてチャートの位置の良いもの。このポイントを抑えているだけで銘柄選択は合格である。しかし、より上昇の条件をそろえようとすれば、会社側の株価に対する姿勢がどうなのかについて見抜く必要がある。

そもそも株価とはなぜ安いよりも高い方がよいのか。それには株式とは何かについて知る必要がある。基本的なことはここでは説明しないが、事業家は会社を設立する際に投資家に事業を説明し、賛同を得られて出資してもらう。その出資の証として株式を発行する。その資金は返済の必要がないが、事業で収益が挙がれば投資家に分配する。それが配当金である。そのほかにも投資家の権利はあるが、それは割愛するとして、株式は事業拡大によってドンドンと収益を上げられるようになってくると分配金を多くもらえるという期待が強まる。そうすると株式の価値は上昇する。他の投資家がそんなに価値が上がるのならば、是非、譲ってほしいということで、その売買するところが必要になり、取引所がつくられた。価値のある会社の株式は値上がりするようになり、株価が高くなる。投資家ははじめに出資した資金よりも多くの利益を値上がり利益によって得られて儲かる。会社も新規事業に膨大な資金が必要になり、取引所を通じて不特定多数の投資家から資金を新たに集める。高い株価で発行すれば少ない株式量で多くの資金を集めることができる。

高株価の良い理由は以上のようなことからいえる。株高イコール、会社の資金調達有利、投資家の値上がり利益大という関係になる。下落すれば逆である。

新製品発売の設備、新技術による製品の工場建設などという大型設備投資を会社が決めると株価は高い方がよいという意識になる。大型投資は会社の毎年の既存設備の償却資金を大幅に上回る。例えば、年3億円の償却金額に対して、新製品の工場に10億円必要だったとすれば、償却額を3倍も上回るために、足りない部分はどこからか資金を集めてこなくてはいけない。当面は銀行借入れで対応するが、それでは、金利もかかり、返済をしなくてはならない。もしも、新製品が不発であった場合、借り入れは大きな負担になり、不良債権化する恐れがでてくる。そこで、株式発行という投資家へ投資資金の返済不要の資金が有利になってくる。しかし、株価が低い位置にあれば、大量の株式を発行しなければ必要な資金が集まらない。そこで、将来、この製品を発売すれば収益がこれだけでるというような事業PRを投資家に向けて訴える。それが、現在の会社のIRと呼べるものである。もちろん、増資の時だけでなく日頃から会社の内容を知ってもらうために、このIR活動は一般化されるようになってきた。そのようにして、投資家は将来性があるならば株を買うことになって、株価が上昇しはじめる。そして、適当な株価になった時点で増資、すなわち、時価発行(公募増資)とか、転換社債、外債などを発行して資金を集める。それが高株価への仕組みである。会社側が株価に用事ができたときには常日頃よりもよく株価が上昇するという理由である。したがって、増資する可能性のある銘柄を買えば投資作戦はだいたい成功するのである。

一例を挙げる。東洋機械金属(6210大阪2部)は射出成形機、ダイカストマシンの専業メーカー。2003年3月期には連結売上げ161億円(前期比56%増)、経常利益5億8300万円(前期10億1900万円の赤字)の業績で、04年3月期は経常利益28億円、最終利益14億円と飛躍的な業績を達成した。この伸びは既存のアジア向け80%の射出成形機やダイカストマシンの好調さに、2002年に開発に成功した電動式で世界初の同時に2枚製造のDVDのディスク専用製造機に受注が殺到しことが要因であった。

そのため、2003年には増産体制を整えなければならないために、それまでの年間償却4億円前後では対応できず、03年3月期には一気に設備投資は12億円を超えるようになった。04年も同じような額になり、資金調達が不可欠な状況になったのである。当面は銀行借入れでしのぐが、高株価による公募増資を2003年11月に709円で250万株実施している。35億円の調達である。

この計画は2002年9月中間決算発表時からはじめている。当初証券会社のアナリストを相手に会社の説明会を実施したが、大きく株価を刺激することに至らなかった。そこで、2003年1月に個人投資家相手の説明会を開催することを決めた。それを決めた11月末ころから株価は動きはじめ、200円台が開催当日には492円まで買われた。説明会の後は400円台でもみあったが、6月中旬から再度上昇に弾みがつき、9月には1200円台まで上げた。4倍の上昇である。そして、先ほどの公募増資を実施したのである味な会社であったが、現在の保田社社長は基本的な考え方は投資家を大事にする方針で高株価に協力した関係の会社も大事にする。ところが、自分だけがよければ、協力者は徹底的に利用して用事が済めばポイ捨てという会社もある。ダイヤモンドシティ(8853)がそれにあたる。

同社は2001年から高株価策の準備をしている。大規模小売利店法の大改正をキッカケに巨大商業施設を毎年1箇所以上全国に建設する計画を打ち出した。ちょうど大規模展開の本格化を前に高株価策をはじめたのだ。株式新聞はじめ専門紙の前で説明し、新施設の案内などをするのだが、高株価になれば用事なしでその後はウンともスンとも言ってこない。利用するものは徹底的に利用して自分だけが儲かればよいというエグイ会社である。こんな会社は投資家も利用されるだけで注意した方がよい。

② 会社の姿勢はどうか

ダイヤモンドシティの我がさえよければの姿勢をもつ会社はほかにもある。しかし、そういう姿勢を続けているといつか大きく叩かれるときがくる。現在、三菱自動車系の欠陥トラックによる死亡事故問題が注目されている。自分の責任をひた隠して、整備責任に転嫁するという許されない事件に発展している。最初の段階で欠陥を認めておれば、第2、第3の事故は防ぐことができた。そればかりか会社の存立問題にまで問題を大きくしたのである。その責任は深く、重い。その精神の裏には自分さえよければ、他は利用したほうが勝ちとう倫理に行き着く。

会社は勝手に大きくなったものではない。創業者の不屈の努力に、ユーザー、取引先の高い評価、株主や地域社会の理解、従業員の努力などによって大きくなっていくのである。大きくなればなるほど自社以外の要素の理解がなければ発展は難しい。現在メジャー呼ばれている会社は当初は「自分さえ・・・」という意識が強かったが、大きくなりだしてから積極的に周りへの配慮に積極性がでてきた。ダイヤモンドシティは地域との密着そのものの事業であり、助け合うということについては理解していなければならないはずだ。いずれ、頭を打つことがあるとみている。

大阪の岸和田にフジ住宅(8860大阪2部)という会社がある。今井社長は1990年以後のバブル崩壊で起こりうるべき事態をいち早く察知して有利子負債と所有不動産の処理を急いだ。その結果、すでに2000年には不動産の含み損が消えて、有利子負債も大きく減少させることに成功した。関西で含み損の処理をもっとも早く消したことでは注目された。社長は社員を大事にすることはもちろん、取引先、株主、証券、マスコミに至るまで関係する企業や個人を問わず大事にする。

しかし、本拠地が岸和田ということで株価はなかなかその実力を本格的に評価されずにいた。しかし、2000年以降、経営に絶対の自信を深めたことをキッカケに積極的に個人投資家への会社説明会を毎年実施しはじめた。

はじめは200円台と実力とはかなりかけ離れた水準に甘んじていたが、2002年以後、その努力が業績の伸びと株式市場の回復が加わって、上値を追うようになり、2003年1月には300円台、11月には800円、そして、2004年4月には1000円台に乗せたのである。

単なる分譲住宅ではなく、時代の流れをいち早く取り入れて、常に発展を続ける会社として評価されだしたのである。リート(不動産投資信託)を利用したマンション建設を関西で初めて実現したことは特筆すべきであり、大手商社、大手電鉄会社などがそのノウハウについて教えを乞うということが起きている。

2005年3月期にはそれが大きく業績に寄与して1株利益が98円を見込んでいる。株価も1000円台以上での活躍が見込めそうだ。

このように会社の投資家に対する積極的な姿勢はもちろん、増資で世話になる証券会社はもちろん、、投資顧問会社、マスコミなどに常にサービス精神をもつ会社こそ本物の上場会社として認められるべきなのである。 人間だけでなく、会社も法人というのであるから人間と同じで日頃からの行いが大切である。用事のあるときだけ、周りの人を動かして、利用するだけの付き合いの人は「何だこいつは」と思われ、次からは周りは付き合い方を変える。それと同じだということを経営者は認識をもつべきである。投資家はそういうことを日頃から見極めて会社を選択することも忘れてはならない。

③ 増額修正した時の判断

 企業活動はすべての資源を事業に集中させて収益を挙げるために全力投入する。上場企業は毎年、その結果を公表しなければならない。それが決算発表である。同時に、次の見通しについても一部の業界を除いて発表している。2004年3月期では金融機関を除く収益は30%を超える経常増益となり、2期連続の大幅増益になった。2005年3月期も12%以上の増益を見込み、3期連続の増益をとなりそうだ。デフレ下での増益であり、売り上げは微増状態が続く。

増額修正した銘柄は株価に反応し、発表した日には大幅高になるケースが多い。即、その動きについていくことも構わないが、増額修正の要因を検討してから仕掛けることが望ましい。例えば、土地を売却して最終利益が膨らんだとか、季節的な要因で一時的に収益が膨らんだとか、子会社上場による利益がでたなどという一過性による利益は株価が上昇しても、これまた一過性の線香花火で終わることがある。そういう時には増額修正であってもむやみやたらに買うことはしない方が賢明である。

しかし、04年3月期の初めの予想で新製品やヒット商品をもっていながら、売れる自信があっても堅い目の予想をした企業は中間決算でほぼ間違いなく増額修正している。

 例えば、日本CMK。2003年9月中間決算発表前の10月29日に2004年3月期の収益見通しを連結経常利益24億円から56億円へと強烈な増額修正をした。DVD向けのビルとアップ基板が折からのDVDブームに乗って、会社の予想をはるかに上回るペースで伸びて驚異的な増額修正とした。株価は発表時の29日には685円だったが、10月31日から本格的に反応しはじめ、同日から3日間ストップ高を演じ、1000円に乗せてしまった。その後、860円まで反落した後、2004年1月には1300円台、3月には1700円台まで買われた。そして、5月21日に決算発表が

行われたが、実に、92億円という連結経常利益となったのである。1株利益は87円。ちなみに、2005年3月期の予想は93億円と1株利益103円と予想している。

 締めてみると当初予想のほぼ4倍という利益を出したことになる。こういうケースは極めて稀であるが、予想をはるかに超える業績修正した銘柄は1度だけでなく2度以上あるとみて、ストップ高であっても買いに行くべきである。CMKのように3日間もストップ高となった場合には必ず、一旦、調整安するケースがあり、それを待つこともよいが、どこが買い場になるか分からないので、とにかく、最初の動きにいくら高くなろうともこだわらずついていくことが重要。いずれにせよ、先高が非常に高いと知っておけば、目先の上げ下げは関係ない。

増額修正が発表されるまでの間に株価が相当上昇していた場合には買いは見送ることが賢明。その上昇が増額修正を織り込んでいたことになると判断するためだ。大抵は材料で尽くしになる。しかし、その後大きく突っ込んだ場合には買いに分がある。先に、言ったように増額修正した銘柄は再度、増額修正に進むケースがあるためだ。ただし、大幅な増額修正した場合だけにとどめる。

ところで、減額修正銘柄の処分。たまたま、もっていた銘柄が減額修正した。これも中身が大事。特別損など一過性で減額修正された場合には下落状態が長く続くことはない。ある程度の下落で反発を期待できるため、戻りを待つこと。下落前の株価を期待せずに安値からの3分の1の戻りが処分のめど。

比較的値を保っていて、それがキッカケで下放れた時には、ちゅうちょなく「しまったら仕舞え」を思い出して処分すること。すでに、下落状態が続いていた場合にはそれが悪材料で尽くしになって、底入れ形成をする場合もある。

しかし、筆者ならば「そんな悪い銘柄ならば後生大事にもつことはない」とみて、即刻売却して処分するだろう。

事業の見通しが狂って減額修正に進んだ時にはこれはもう、どんなに売られた場面であっても、安易な気持ちを捨てて、いくらでも良いから売却方針を貫くことまず、戻ることはないと思うこと。そして、追い討ちをかけるように再減額の可能性がある。典型的な減額修正の実例を挙げてみよう。

サニックスという会社がある。シロアリ駆除や家屋補強事業を収益の柱にしているが、環境事業として廃プラスチックを燃料とした発電所を北海道で進める計画をしており、環境事業の第一人者として知られている。2003年3月期に連結経常利益予想を101億円(02年比前期比31%増)と予想していた。ところが、11月5日に同利益の予想を25億円と大幅な減額修正を発表(新聞掲載は6日)した。関東地区での家屋補強事業などが計画を大幅に狂ったことが原因だった。5日の終値は1242円。6日には当然売り物が殺到し、ストップ安の1042円。売り物がすべて消化されずに、翌日もストップ安で一気に842円まで値がつかなかった。更に、8日も売られ、一時、775円まで売られた。そこまで売られると環境関連というイメージが強いために、11月下旬には1250円まで戻す場面がみられたが、その後は下落の一途をたどっている。

この銘柄は実は8月に初めて減額修正をしている。8月7日に明らかになり、その日は当然ストップ安で1950円の400円安。翌日もストップ安寸前の1661円まで売られていた。このときは戻りが全くなく1300円に至ってからわずかに、1500円台まで戻したに過ぎない。そして、11月の発表でようやく底を入れたことになる。このように、減額修正企業は必ずといってよいくらい再度減額修正がある。最初の減額のときに、ストップ安でもよいから売却することがいかに、賢明かが分かるだろう。

初めの減額で売られたときには、それこそ「しまった」と思うだろう。戻ることはないとショックの気持ちを抑えて、冷静に処分することを実行することだ。

3 仕手株に手を出すな

①「チョッとだけよ」は怪我の元

 仕手株(してかぶ)と呼ばれる銘柄が時々、市場で話題を集める。これは特定の投機資金が特定の銘柄に集中させて短期的(時には長期)に急騰、急落を繰り返す銘柄のことを言う。時代によって特定の投機資金の性格は変化していく。1970年代以前は投機資金も材料の解釈によって、対立し仕手戦を演じたものだ。例えば、ある会社が新製品を発売するとしよう。一部の大手投資家は「それは売れる」とみて、大量にその銘柄を買う。しかし、別の投資家は「そのためには過大な設備投資が必要でその資金回収できずに収益確保は難しく失敗に終わる」とみて、そこそこ上昇したところでカラ売りを仕掛ける。特定の投資家がまったく違う解釈によって、売りと買いの戦いを繰り広げる。これを仕手戦と呼ぶ。今でこそ、優良大企業になっているが、ソニー、オムロン、シャープ、小野薬品、大和ハウスなどはその代表銘柄だった。企業が成長していく過程でその洗礼を必ず受ける。既存のイメージがどうしても投資の判断基準になるためで、「あんな会社がそんなことをできるはずがない」という考え方から抜け出せないために、急成長しはじめたときには仕手戦が繰り広げられるものである。

 1970年代後半から1980年代に入ると仕手株は業績の悪い赤字の小型銘柄を狙った銘柄の代名詞になる。赤字や業績が悪いために上昇するとカラ売りが入りやすくなり、しかも、小型株のために市場に出回る株数が少ないために買い方は需給をコントロールしやすい。100円台の低い位置からはじまり、1000円以上に化けさせるケースもいくつか表れた。有名な誠備グループの加藤氏一派、関西の不動産事業主の資金を中心に関西の有名仕手が結集した千里豊中グループなどは代表的な存在。そうしたグループに灰色、黒い色の資金がチョウチン筋としてむらがり、とんでもない相場を形成する銘柄が続出した。しかし、そういう銘柄は例外なく、もとの木阿弥となって高値をつけてから何分の一になっている。

 1990年代になると、バブルの崩壊によって、仕手集団も大打撃を受けるが、新手の仕手筋が現れる。バブル時に高値でつかんだままの銘柄を法人が大量に所有したが、その中には出来高が日頃ほとんどできない銘柄もある。処分しづらいことに目をつけて、その株の処分を引き受ける仕手の登場だ。例えば、時価500円で100万株持っていたとする。それを「市場で売却してあげましょう」と話し合いし、解体料として1株100円で引き受ける。仕手は手数料として1億円を手にする。その仕手はグループに450円で例えば10万株単位で分けてやる。時価の50円引きである。条件として分けた分の資金の何割かを市場を通じて買うことを約束させて引き取らせる。もともと、売り物の薄い銘柄であり、グループが集中的に買い上がると急騰する。上昇すれば買った分だけカラ売りをして売り抜けていく。いわゆる「解体」と呼ばれる売り抜け目的の仕手である。これ以外の解体方法はいくつもあるが、かくて、勧進元は5000万円が濡れ手に粟で儲かることになる。仕手グループも時価よりも安い価格で引き受けているために、損はない。

 2000年に入ると銀行融資を受けられない会社に海外の金融機関と組んで仕手筋は外債を発行させて、巧妙に投資家を巻き込んで転換促進による売り抜けをすることが流行する。所詮は銀行からみはなされた会社が苦し紛れに外債を発行して仕手筋のいいなりになって食い物にされる。その結果、倒産する銘柄もいくつかでている。

 仕手株は1980年代以降、時代を反映させるような新しい手を使って現れては消えることを繰り返している。しかも、タチが悪くなっていく一方である。

 投資家にとって短期で急騰する場面があるだけに、ついつい勧められると最小単位だけで乗ってみようとする。それこそが地獄の一丁目の入り口に踏み込んだようなものだ。最小単位のつもりが、つい、短期で儲かると次はもっと多く買おうと欲がでて、ついついのめりこんでいく。気がつけば全部の資金を投入して、そして、急落を経験しそれまで儲けた分が全部飛んでしまい、なお、追加資金(信用取引で買った場合、下落によって担保不足が生じた時に入れる資金)の追い討ちがかかり、更に、下落が続くことでついには投資資金すべてを失う結果になる。仕手株だけにちょっとだけよ、は絶対に通じない。さけるべしである。

 仕手株かどうかは業績も良くない上に、自然体の動きとはちがった不自然な動きをしている銘柄は怪しいとみるべきだ。上がる理由もどう考えてもこじつけくさいと判断できるものはそうした銘柄と判断してよい。

➁ カラ買いとカラ売りについて

下落相場が長期に渡って続いていると買いで利益を上げることは難しくなる。2002年の6月以降はまさに、それを象徴する典型例であった。日経平均は5月20日に1万1979円をつけて以後、米国の2001年9月に起きたテロの下落後の戻り相場が続いた後、不正会計の続出や情報通信不況が続くことで米国市場が下落傾向を強め、それに引きずられるように、日本市場も下げ足を強めていった。日本市場は米国市場の下落要因の上に金融機関の不良債権問題の処理の遅れからくる金融危機懸念が加わって外国人が金融株、ハイテク中心に売り続けた結果、日経平均は10月10日の8197円までほぼ一本調子に下落した。

 ハイテク株の業績見通しは2003年3月期には前期の赤字や低収益から回復を見込む銘柄が続出したために、投資家は下落途中に売る発想はなかなかできずに6月ころの下落した場面で逆に買って所有する人が多数を占めた。ズルズル下げる相場でも損切りのラインをしっかり決めて厳格に守る人は大きな難を逃れることができたはず。

 この6月から10月まで日経平均は32%の下落幅だが、ハイテク銘柄は半値や3分の1になる銘柄が続出し予想以上に被害は大きかった。そんな時にカラ売りをし続けていた投資家は笑いが止まらなかったと思われる。

 確かに、わずか4か月でそうした下落を演じたのだから、6月にカラ売りしてじっとみていれば、大きな利益と単純に思われるだろう。しかし、カラ売りは買いよりも3倍くらいのストレスが溜まるといわれる。ましてや好業績のハイテクをカラ売りすれば、毎日、ニューヨーク(NY)市場がどうなるか気が気でなく、毎朝、NYのダウを確認するまで緊張の連続だったと推察できる。そのために、カラ売りすると少しでも利食いになれば買い戻しをすることになり、一回の利食い幅は小さいのが特色である。そういう小幅の利益を何回も積み重ねていくが、株価が上昇すると売り上がりを仕掛ける。最小単位のカラ売りがナンピン売りあがり状態になる。結果として下落してくれると売りあがった分は余計に儲かることになる。

そういうことを繰り返していると、相場の底入れ後の本格上昇とそれまでの戻り高との区別ができなくなる。底入れした銘柄が反発すると上昇幅は大きい。もう一度下落しても底入れした株価は安値を下回ることがなく、改めて上値を追うことになる。カラ売りをしているとそれに気がつかない。上がってはカラ売りを続けることになり、売り株数が膨らみ、含み損が増大し、担保不足に陥り、ついには、カラ売りの強制的な決済を迫られ、すべてを失うことになる。カラ買いは失敗しても株券を現金で引き取ることができる逃げ道がある。カラ売りは株券をもっていないで売るために、決済以外に逃げる手立てがない。そういう意味で失敗した時のリスクは買いよりもはるかに高い。カラ売りは現物の株券をもっている人がそれを担保でお金を借りている時には売りたくても売れない。そんな時にカラ売りをする程度に使えといっている。一般の投資家はいくら儲かると思っても「禁じ手」としてどんな時でも実行してはならない。そう割り切ってほしい。

カラ買いもいきなり利用することは感心できない。やはり、基本は現物株でできる限り売買することである。現物株での売買も投資金額全部をいきなり投入しないで、基本編でも説明したように半分くらい、大きく譲っても70%くらいの資金の範囲内で売買する。

1000万円の投資資金であれば、常には500万円~700万円の投資金額で売買する。もちろん、銘柄の選択とタイミングをみて、その金額のうち最初は3分の1だけで買う。下値がくれば更に、3分の1買うというようにナンピンを入れる。というように値段を分散させて買う。その範囲に達してなお、ナンピンをかける場合に一部カラ買いを利用する。そこまで下落すると損きりの設定に達することが多く、判断が難しくなるが、銘柄の選択によって判断を決めるしかない。時流に乗る製品で大幅な業績好調見通しのある銘柄はナンピンも良いがそれほどの銘柄でない場合には損きりを考えるべきであろう。損きりもすべて売却せずに、とりあえず、半分程度を処分し戻りを待って残りを処分する覚悟で対処すればよい。

ナンピンと判断して最後の下値でカラ買いしたのであるからカラ買いが一番安いということになる。そうして戻りはじめるとカラ買いがすぐに利食いになるので、まず、それから利食いをする。そして、元の現物だけもっておくのである。

カラ買いはめったに利用することは好ましくない。利用する場合にはもっとも安い株価のときにやむを得ずに利用することである。利食いになった時点ですばやく外すことである。それさえ、心がけておけば2004年の4月26日から立会い日数がわずか12日で13.6%も日経平均が急落した際でも大きな被害がなく乗り切ることができたのである。この急落で信用取引をしている投資家のほとんどが追い証を経験したといわれる。某ネット証券では店内信用買い残があっという間に20%も減ったという。常々、信用買い(カラ買い)ばかりをしているとそうした悲劇から逃げることができずに、泣かされることになるのだ。

信用の期限が無制限ということを売り物にしているネット証券があるが、この利用はなるべく控えることが好ましい。6ヶ月超えて利食いにならないということは勝負に負けたと判断すべきであって、6ヶ月決済の通常の信用買いよりも高い金利を払ってまで粘るべきでないと思う。

カラ売りの利用は論外だが、カラ買いも安易に利用すべきではない。基本はなんといっても現物である。

投資家の中には両建てといって同じ銘柄を買いと売りを同時にする人がいる。上がるかもしれないが、下がるかもしれないというどっちつかずの判断でするため、両建てする。株式先物ではしばしばみられる。これは振幅の激しい銘柄には有効な作戦にはなるが、大抵はスカタンな結果で終わるのがオチである。買いか売りかわからない時にはその銘柄は敬遠するのが一番なのである。

③ すばやく決断を

仕手株は手を出さないことが基本であるが、連日、急騰を続けるとついつい買いたい衝動にかられてしまう。投資仲間が仕手株で儲けた自慢話を聞かされてしまうと買わなければ損したような気持ちになるから不思議だ。フラフラと買ってしまったとしよう。自分が買うまでは勢いのよい動きをしていたのに、買った瞬間にピタリと動きが止まってしまうことを経験したことがあるだろう。そんな時には「しまった」という心理になり、急に、暴落するのではないかと不安になる。今までの自分の勢いはどこかへ吹っ飛んでしまう心理になる。そう思ったときにはちゅうちょなく、勝負から降りることだ。それを思い起こして、「いやいや、これからまた上がってくるからここはガマン」と自分に言い聞かせる。そこには冷静な判断は存在しない。目的もなくただ上がることだけを信じているみじめな自分の姿があるだけだ。すばやく、「しまったら仕舞え」を思い出して処分をすることである。

④ うわさ話や手口を信じるな

 仕手株につきものはうわさ話である。「どこそこの有力筋が明日ストップ高させる」とか「有力材料が大引け後に発表される」などといういかにもありそうな話がどこからともなく舞い込んでくる。現在ではインターネットでその銘柄の掲示板にそうした類のうわさ話が載っている場合がある。大抵の場合にはうわさ話が本当になった場合はない。カラ売りしている投資家を狼狽させるためとか、その逆の買っている投資家を投げさせるための悪材料を流す場合がほとんどである。

 特に、しばしばうわさになるのが、特定の仕手筋が大量に買ったという話。これから買うならば話もおもしろいが、まだ買っていない前からわざわざ教えるアホウな仕手もいないだろう。大量に買ったという話もまるで見てきたようなことを言って吹聴する投資家もいる。数年前に活躍した投機家の西田春雄氏が介入した銘柄にはそういううわさが流れたものだ。彼は現在でも活躍中であり、数少ない仕手の生き残りである。直近では大阪2部のキムラタンの相場で成功している。  

本来、誰々が買うという話で買う動機づけにしてはいけない。いわゆるWHO(だれ)ではなくて、WHY(なぜ)で材料をたずねて投資判断とすることが絶対的な基本であることを肝に銘じるべきである。なぜ買われるのか?という理由を重視するのだ。仕手の誰かが買ったでは理由にならない。誰もできなかった新技術を開発したために買ったというような材料で判断を決めるのである。誰が買ったといううわさが流れたときにはその誰かはすでに売り抜けていると決め付けることで、それに手だしてバカをみるのは自分と思うべし。

手口についても同じだ。やたら手口を詳細に調べて投資判断にする投資家もいる。仕手筋の注文がでる特定の中小証券の手口がみられると飛びつく投資家だ。仕手筋は巧妙で特定の証券会社を使っているように見せかけては別の店でちゃっかり売却していることが多く、手口をわざとみせてチョウチンを誘うことがうまい。また、最近では外国人の手口をみてチョウチンをつけるケースもみられる。「有力アナリストがいる某外資系証券は当たり屋だ」といってその手口が出ればとにかく買う。そればかりを追っかけることである程度の成果も得られるが、振り回されるだけで、その銘柄を正しく判断できなくなる。大きな相場に発展する可能性のある材料で買っているのか、目先的な動きで買っているのか分からないために、どんな銘柄も目先の20円や30円ほど上がれば売却するパターンにはまってしまう。また、手口にこだわるととんでもない目にあうこともある。

もう、十数年になるが、筆者の友人が仕手株大好きな投資家で何回も「いつかひどい目に合うからやめろ」という忠告も聞かずに、それ専門の投資を続けていた。しかし、時代がよかったせいもあり、損もあるが短期で儲かる醍醐味を味わっているため、一向にやめることはなかった。ある製紙大手の銘柄を1500円台で買って以後、何回もその銘柄を売ったり買ったりしていたのだが、3000円近辺でこんなに上がるのならば、まとまって買おうとなって、5万株を買い大勝負にでた。5000円になったときに「よし、全部売って利食いだ」と決めたのは良かったのだが、たまたま、手口をみた。すると、なんと5000円近辺で数百万株の買い指値が入っていたのである。それをみたとたん、「売るのはやめだ。逆に買いだ」と判断して追撃買いをし、5000円で思い切って10万株を買ったのである。その銘柄は5020円という歴史的な高値をその直後につけると、一転して下落しはじめ、アッという間に3000円台まで急落し、2か月後には2000円で落ち着くことになるが、戻ることもなく、そのまま翌年には1000円も割れて、後は200円まで1年余り時間をかけてたどりつく。

「その友人はどうなったのかって?」彼はそれまでの利益をもちろん吹き飛ばし、急落になすすべもなく2000円台で全部投げた。それでも良かったのである。そこで投げたのはたまたま家を新築していたので、その資金がどうしても必要なために、売却したというのだ。もしも、新築しなかったならば、すべてを失っていたことになる。家のおかげで最悪の事態を逃れたことになる。彼はそれ以後、株式投資をすっぱりとやめた。相当懲りたのであろう。

このように手口によって判断を狂わされた例を挙げた。下値に大量の買い物が入っていても売られるときには何の意味もないのである。売られるときは売られるのである。うわさ話や手口などというのは投資判断を迷わせるだけで決して重要視しないことである。

2 集中投資を重視せよ

① 資金集中を心がける

 投資相談を日頃から積極的に受けるようにしている。銘柄判断に自信があるためではない。上場銘柄の4000近い銘柄をすべて把握できるわけがない。そんなことは不可能である。ましてや、正しい投資判断をすることなど至難の技である。しかし、業種の代表銘柄ぐらいの業績は概ね把握しており、主要な銘柄のチャートは頭に入っている。そういう基本的なデータに相場全体の流れは常に、みているので、相談する銘柄そのものは正確に分からなくても、大筋は判断できる。どうしても、分からない銘柄は後日ということでご勘弁願っている。相談する投資家も詳細なことを求めているのではなく、処分をどうしてよいか判断を決めかねているために、「ワラをもつかむ」感覚で相談するようだ。そうすることで手持ちの銘柄から発生するストレスから少しでも逃れられるのであろう。その少しばかりの心の安らぎにお役に立てればと思ってできる限り相談に乗るように心がけている。

 それにしても、相談する投資家は資金の差こそあれ、どうして、たくさんの銘柄を最小単位の株数で所有しているのだろうと常々、首を傾げさせられる。筆者が相談を受けた投資家だけではなく、恐らく、全国の投資家のほとんどがそういう投資をされていることが容易に想像できる。基礎編でもそういう投資方法はダメだと詳細に述べたが実戦編でも改めて強調したい。

 株式評論家の中には分散投資を勧める方が多い。確かに、分散することでひとつや2つの個別の銘柄の損によって投資金額全体に致命的な損は及ばない。しかし、目いっぱい資金を使って、たくさんの銘柄をもっていると損する銘柄と利益のでた銘柄とが相殺する形になり、はたして投資金額全体での投資成果は挙げられたのかどうか大変な疑問だ。恐らく、成果どころか損失になっているのではないか。

 分散投資をすべて否定するわけではない。相場全体が大底を入れたときに、一斉に戻ることがあり、そういう時には個別への集中投資よりも分散投資をすることが有効である。もっとも、全体が大底を入れた場合にはよい銘柄から買われるために、何でも買いというわけではなく、好業績、優良株などの中から数銘柄選んで分散投資することが大切である。

 しかし、投資家のほとんどの方は次のような株式保有状態になっている。

例えば300万円の資金では次のような投資方法をしている。

A株320円で2000株(64万円)

B株150円で3000株、(45万円)

C株260円で2000株(52万円)

D株650円で1000株(65万円)

E株450円で1000株(45万円)

現金29万円。

 これがすべて目標どおりの株価まで上昇すれば、300万円の投資成果が得られたことになり、めでたしとなる。しかし、現実は厳しく、現状は大抵次のようになっている。

A株250円(含み損14万円)

B株80円(同21万円)

C株240円(同4万円)

D株280円(含み益3万円)

E株300円(含み損10万円)

 D株を除いてすべて損という状態である。しかも、残りの4銘柄のうちC株以外の3銘柄は塩づけ状態で資金が完全に眠っている状態。その金額は154万円になる。その資金が復活するまでは残りの資金146万円で運用しなくてはならない。しかし、実際にはD株だけが動きをとれるために、97万円(残りの現金29万円とD株の68万円の合計)が動かせる資金となる。これでは300万円の資金を持ちながら実質的には100万円未満の投資家と同じことになる。

 分散投資はリスクを軽減させるために行う投資作戦であるが、実際にはリスクを多くの銘柄に乗せたことになっている。この例ではトータルでは113万円の損になっている。損をしないことを考える余り、肝心の攻める投資の方を軽視した結果、思わぬ大きな損になるのが、分散投資の大きな欠陥である。相場全体が右肩上がりの上昇期ならば含み損もいつかはなくなる可能性もあるが、不透明感の強い相場では含み損は広がり致命的な損になる恐れがある。バブル崩壊後の相場がまさにそれに当たり、この本を読んでおられる方々も多分その経験をお持ちだと思う。

 筆者は分散投資は戦略によって使うべきと考え、通常では理想は1銘柄に集中投資をすべきだと考えている。すなわち、攻めの投資作戦である。300万円をひとつの銘柄に集中することを基本作戦とするのだ。

 300万円がフルに生かすことができて、勝利したときの成果は大きい。また、投資の株数が、例えば、300円の銘柄ならばトータルで1万株(実際には300万円の投資資金では200万円にとどめる)というように大きくなるので、より以上に銘柄の選択を厳しくすることと損切りは厳格に守ることが絶対条件になる。

 この投資作戦で成果を挙げるためには、守らなくてはならないのはいきなり集中投資に入らないことだ。投資額の約10%程度の成果を得るまで100万円程度で止めて挑戦を続けることである。その時も損切りする水準の株価を買ったときに決めておいて、必ず、それを実行することは言うまでもない。その結果、30万円ほどの利益が得られてから初めてトータル200万円まで買う集中投資をするのである。

 その理由は集中投資に本格挑戦をした際に、失敗して損切りした場合に損失額が大きくなる。その前に先に一割程度の30万円分を無理せずコツコツと作り上げて330万円になってから本格的な一極集中の投資作戦をはじめる。そうして、なおかつ、200万円までの範囲で一極集中買いをするのである。現金130万円を必ず残しておく。そうして、50万円の成果が仮に得られたとしよう。すると、380万円に投資額は膨らむ。今度は250~300万円の投資金額で一極集中投資を実行するのだ。損きりの限度額は30~50万円というように決めておくことも大切だ。

そういう用意周到な作戦をすることで初めてリスクから身を守れるのである。集中投資の成果は大きい反面、リスクも大きくなるために集中投資に入る前の準備作戦と考えてほしい。

➁ 株価に分散投資を

集中投資を成功させるためには、更に、欠かせない条件がある。さきほども言ったように、300万円でひとつの銘柄に集中せよというのだから用意周到にして臨まなくてはならない。基本編でも言い続けているが、大事な資金を投資するのだから商売をはじめることと同じくらい準備を進めてから行動をとるべしということを思い出していただきたい。後ほど説明する銘柄の選択の重要性は当然であるが、300万円で一つの株価に集中してはならない。銘柄はひとつに集中するのだが、株価は分散させて仕掛ける。そこがまず、大事なポイントになる。「株価の分散?」と首を傾げるだろうが、つまり、こういうことだ。

 500円の銘柄があるとする。300万円で一度に買うと6000株買える。タイミングがズバリ的中し、そのまま、50円でも上がれば文句なしだが、必ず、そううまくいくとは限らない。そこで、とりあえず、どこまで下があるのかを想定する。まず、450円以下になれば手を引く。つまり、損切りすることを決める。それまでの範囲で押し目を狙うことにする。そこで、まず、500円で1000株を買う。そして、485円になれば、更に、1000株ナンピン買いする。(ナンピンとは難を平らにするという意味)上昇相場の押し幅の限界は直前の高値の7%押しといわれる。その限界値の465円か、その手前の470円で更に買う。そしてトータル3000株にする。このように、500円、485円、470円のように株価の値段を分散したことで、平均買値は485円となる。分散の途中で上昇しはじめた場合には、基本的には追撃買いをなるべく避ける。2000株でも、3000株だけでよいから、上値の目標(利食いの目標)や時間の目標(勝負をつける期間)がくれば売ることに徹する。

 値段の分散をすることで平均買値を485円のように当初の500円よりも15円下げて買うことができた。3000株でも145万円となる。200万円程度まで買ってもよいのだが、それ以上の追っかけをすることはない。下落して損切りのボーダーラインの450円以下になって投げると10万円程度の損失になるが、余裕で次の勝負にでることが可能になる。逆に、上昇した場合、1000株しか買っていなかった時よりも大きな利幅が得られることは言うまでもない。

 集中買いは大きな成果もあるが、リスクも最小単位での投資よりもはるかに高くなるために、損切りの際には、「売却すれば50万円の損になる」など損失計算をしないこと。「50万円の損で収まった」とプラス思考で思い切って処分することを常に、心に銘じて行動することだ。

 余裕をもって投資をすることは株式投資においてでも成功するための必須条件であるが、それほど慎重に投資行動を取れといっても、なかなか実行するには強い意志と勇気がなければできない。相当ひどい目にあわないとできないのが本音であろう。

禁じ手として、後で詳細に述べるが、仕手株(特定投機家グループが特定の銘柄に集中投資して、短期で実態無視して急騰させる銘柄)を買ったとする。ちょっとだけのつもりが、ヅルヅル引きずられて投資額全部をつぎ込んだとする。ある日突然、急落という事態に直面したときに「しまった」と思うはずだ。(当然、その瞬間に投げる)しかし、そう思ってももう遅く、かなりの値下りになっており、半値で最後は投げるはめになる。もしも、そんなときにでも、300万円の資金でも200万円ぐらいで常に運用していれば、そういう事態になっても再度、投資を続行できる。現金に相当余裕を持たせて売買するのは、いざというときのための「伝家の宝刀」の意味があるのだ。投資資金が1000万円を超える投資家の場合には1銘柄集中にこだわらず、2銘柄とか、3銘柄でもよい。しかし、最高3銘柄までに止める姿勢を貫くことが望ましい。要するに投資資金額に見合った株数をそろえる投資姿勢を常に、貫くことである。

③ 銘柄選択を厳格に

集中投資をするための重要な点を説明してきたが、最も重要なことは銘柄の選択である。一極に銘柄を集中して投資をするのであるから上がる確率の高い銘柄を選ぶことは必須条件である。誰かの話しを聞いて安易に投資するわけにはいかない。もちろん、これまで失敗の場合の逃げる方法も何回も説明しており、それを厳格に守れば大きな難を逃れることになるが、銘柄の選択を間違い続けていると損切りばかりしなくてはならない。それこそ、分散投資に逆戻りだ。

 銘柄選択はいろんな角度から決めることができるが、相場全体が低迷期でも確実に上がる銘柄はある。そういう銘柄はどういう銘柄なのかについてポイントを説明してみたい。

 基礎編でも説明したが、まず、業績を重視すること。前期の実績ではなく、今期の予想をみて増益かどうかが重要である。更に、来期も増益ならばなおさらよい。連続増益が要するにポイント。また、前期赤字で今期大幅黒字転換などのドラスチックな銘柄は100%上がる。ただし、債務超過や累積損を多く持っている銘柄は避ける。無配から復配する銘柄はなお良い。増益でも毎期判で押したような5%増益を続けている変化のない銘柄は上げる余地は小さい。世の中が不況でどの会社も減益見通しの場合にはそういう会社でも買われる。不況期に医薬品、食品会社

の銘柄が買われるが、まさに、それである。景気が回復、好調なときにはやはり、他社を圧倒するような大幅増益を見込める銘柄でなくては人気にならない。それに、増益だけでなくて、市場の話題を集める業種や技術、商品で増益になっているかどうか。例えば、今年のヒットや話題を集める商品に関係している製品をつくって大幅増益になるというのが最も人気を集めやすい。

 2002年から爆発的な人気になったデジカメやDVD(デジタル多用途ディスク)、2003年、今年の2004年に普及が本格化しはじめた薄型TVの液晶TV、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)の事業で高いシェアをもち業績を飛躍的に伸ばしている銘柄が最も化ける。

典型例が2002年から2003年にかけて株価が化けたタムロン(7740、ジャスダック)である。一眼レフのレンズ専業だ。2001年の12月期の決算は経常利益4億円余りだったが、2002年に28億円と4倍以上、2003年には55億円とほぼ倍、2004年も61億円と10%増益というように猛烈なピッチで利益を伸ばした銘柄である。それはレンズを製造していない三洋電機、ソニーなどがデジカメに参入したことや携帯電話にカメラ機能がついたことも重なってタムロンに受注が殺到し飛躍的な成長になった。株価は2001年12月決算の発表と同時に株価は上昇をはじめた。発表前の2002年2月の330円だった株価は10月に1000円をつけ、翌年の2003年に入ると上昇ピッチは一段と早まり、毎月高値更新を続け、2003年10月には6000円を超すまで買われた。実に、1年半で20倍に株価は化けたことになる。

 このように、業績見通しの劇的な変化と時流にマッチした商品をもつ銘柄は上昇は強烈なものになるという典型例である。後はどこで仕掛けるかのタイミングを計るだけである。それも後ほど買いのつぼというコーナーで説明していく。そういう銘柄をみつけたならば、勇気をもって対応すれば、大きな利益を得ることができる。

 このように、最強の銘柄の選択の例を挙げてみた。タムロンのような例はなかなか現れないが、昨年から続いている中国での鉄鋼不足で恩恵を受けた鉄鋼株も大幅な業績変化銘柄として2003年7月から2004年の4月まで何回も買われて高値を更新している。

 毎年、こうした話題の銘柄は登場する。2004年は夏までデジタル家電銘柄の活躍があるのではないかとみている。4~5月にかけて日経平均は急落し、デジタル家電の薄型TVで業績を大幅に伸ばすシャープなどもいっしょに売られたが、8月のアテネ五輪のころには改めて買われているものとみられる。半導体製造装置メーカーも2005年3月期の業績の見通しが明るく、いずれ、人気化するだろう。また、メガバンクも不良債権処理にメドをつけ、今期の収益回復は大幅なものになっており、
改めて評価されるであろう。集中投資をするためには、そうした時流に乗ることで収益を上げる銘柄を選んで実行すれば、大きな成果を得られるのである。

 株式評論家と称する方々はたくさんおられる。銘柄推奨をされない相場観だけの人もいるが、大抵は相場観とともに有望銘柄を参考に挙げる。ジャンル別に銘柄を挙げるのはいいが、30銘柄以上も参考銘柄を挙げる評論家がいると聞かされ、あきれてしまう。株式講演会にどの銘柄がよいのか分からないために、訪れる投資家がほとんどである。そこで、そんなにたくさんの銘柄を挙げるとどれを買ったらよいのかますます迷うことになる。投資家泣かせの評論家だ。そういう方は自分は「自信がありません」と無言で教えているようなものだ。証券セールスマンも同じで300万円の投資資金がありながら、どんな銘柄も最小単位で買わせて銘柄の数ばかり増やしてしまう。これも自信がないことを投資家に教えていることになる。筆者は講演会で銘柄を参考に挙げる場合、いろんな角度で調べて、「これならば上がるのではないか」と感じれば、イチ押し銘柄として強くひとつの銘柄を推奨する。同時に、2~3銘柄を参考として挙げる。最大でも5銘柄でとどまるが、時には本命とか、準本命、穴株などとマークをして分かりやすくしてあげる。それが折角、遠くから足を運んで聞きに来られた投資家に対するサービスだと思っている。

 時には、イチ押し銘柄が外れることもある(2002年の前半は外れることが多かった)が、引き続き信じてついてこられる方は挽回できるようにカバーする自信をもっている。そうでなければ、こういう実践論の指南書はかけない。話は少しそれたが、集中投資ができることで一度の投資による成果は飛躍的なものになることがお分かりいただけたと思う。これからは300万円の投資資金で一度の勝負で50万円以上の利益を得られることが不思議ではなくなるはずだ。

1 どれだけ損切りできるか

① しまったら仕舞え

 基礎編で再三にわたって損きりの水準を決めて必ず実行することを訴えてきた。「もう分かった」とおっしゃられるが、もう一度、応用編の一番はじめで是非説明させていただく。分かっているようで分かっていないのが損きりなのである。実行する段階ではついつい、官僚のクセではないが、先送りしてしまう。これができれば、後から説明していく実戦行動は非常に楽になる。いわば、損切りさえできれば、実戦では80%勝利したのと同じくらい極意を習得したことになる。

 個人投資家の方々は金額に関係なく、多くの銘柄をもっておられる。さながら、銘柄の百貨店のようだ。その全部は売却のタイミングを逸したもので、売るに売れずに持ち続けた集まりといえる。買い値の半値はまだましで、中には10分の1になったものもある。そうした銘柄をもっている関係で本来、1000万円の資金があるにもかかわらず、実働資金は2割や3割に過ぎない状況に陥っている。しかも、その残りの資金もいずれ同じような状況に追い込まれ、結果、ダルマ状態になって、

やむを得ず、新しい資金を投入し、改めてやり直す。しかし、新規投資資金を投入してもまた同じことの繰り返しになり、含み損を増やすだけのことであり、やめたほうがよい。それよりも、妥協できる損失をいかに早く処分する決断をするかが、大事なのである。しかし、「どこで切ればよいのか分からない」という声が実際の損切りの場合に問題になってくる。選んだ銘柄や所有期間によっても変わってくる。いずれの場合でも「切る」という決断を起こすときというのは、苦しみを味わうことになるのでどうしても気持ちが萎えてしまう。そんなことを考えているうちに、損きりができないほどの損失になってお決まりの塩漬けになる。

どんな銘柄を買っても、はじめは目標を立てて買うものだ。「50円上がれば売ろう」とか「チャートが買い支持になり、10%くらい上で売れそう」とか、「人気を集める材料があり、1か月くらい持って売ろう」などの動機で買う。利食いの目標はそのように楽しみをもって立てられる。ところが、その後、自分の見通しとは違った動きをすることが多々ある。ある程度は様子をみるものだが、どうも、その後の動きもよくない。「どうしようか」と躊躇し迷う。そういう時に最初から「ここまでくれば、処分売りをしよう」決め手おけば、悩む必要もない。損きりの目標値というものだ。それはそれぞれ個人差がある。5%ならば我慢できるとか、10%までならなんとか次の勝負でとりかえせそうだ。というように自分の資金の能力度合いに応じて実行することである。

なぜ、損きりするかという理由だが、損をできるだけ少なくすることで次の勝負で埋めることがたやすいことがひとつ。塩漬けにしてしまうと大きな資金が眠ることになり、戦力が大幅にダウンする。それを常に生かすことができる。そういうことを防ぐことが目的である。1000万円の投資家がほとんど100%近い資金を常に、運用できる状態であれば、非常に投資効率がよいことになる。持っているのは生きている銘柄とピカピカの現金のみという状況になる。そうすることで大きな成果を得られるチャンスも広がることになる。だから、できる限り損きりは果敢に実行すべきなのである。

損きりの実行パターン

 下値の目標を定めて損きりをすることが通常の損きりになるが、思わぬことで株価は急落するものだ。そういう場合にどう損きり対処するかについて説明しておく。

 業績が見通しとは違って、減額修正された時。売り気配から始まっても処分すべし。同様なことは減配、業務・資本などの提携破棄、長期にわたって業績を悪化させる事件、低収益状態での分割や公募増資発表なども「しまった」と思われるであろう。そういう場合に「もどってから売ろう」と考えずに、即刻売ること。それを総称してしまったら仕舞えと覚えておくこと。

 ただし、分割でも高い成長を見込める銘柄の場合には買い材料であり、公募増資も大きな新製品のためだとか前向きな材料のある場合には売りにはならない。また、事件でも短期的に業績に影響を与える程度であれば、一時的に売られるだけで、戻るケースが多いのでその場合には売られた場面は買いになる。次の項で説明するナンピン態勢をとることである。減配の場合でも記念配当や特別配当の部分を減配する場合には売り材料にならないこともある。

 チャート面からの売りだが、大陰線を描き、更に下落した時、移動平均線を大きく割り込んだ時、中段もち合いを下に離れたときなどは躊躇なく売ることでよかろう。それ以外にも売りパターンは数多くあるが、分かりやすい売り判断だけでよい。

 また、心理面での損きりも実行すべきである。後で説明する。

このように損きりの覚悟ができていると相場への参加は非常に楽になる。どんな銘柄でも極端にいえば、買うことができるのである。大きく上値を追っている銘柄でも、突っ込んだ銘柄でも自在になる。そういう意味で投資対象銘柄は非常に幅が広くなり、どんな場面も投資に参加することができる。

➁ 難平(ナンピン)は3度まで

ナンピンとは難を平らにする。すなわち、株価の平均コストを下げることである。はじめに、狙いをつけて買ったところが、予想に反して値下がりした。しかし、タイミングが悪かっただけで、株価がいずれ上値を追うことは間違いないと判断しているときに下落した場面で買い増しする。それをナンピンするという。上昇過程にある銘柄が一時的に調整期に入ったときには非常に有効な投資方法である。しかし、一度、天井をつけた銘柄でそれをすれば、損の上塗りという事態を招き、大ヤケドをしかねない。その見極めが非常に重要になってくる。しかし、天井か上昇過程かを極めるのは後でチャートをみて初めて分かるもので、その区別は難しい。

そこで、ナンピンははじめに買った水準を含めて3度で止めるというように限度を決めておく。そして、3度目のナンピンをかけた後にも、損切りをする株価水準を同時に設定することが欠かせない。そして、それを厳格に守ることだ。

はじめに選んだ銘柄が軽い気持ちで買った場合はナンピンをかけるまでもなく、5%も下落すれば損きりをしようとか考えて対処できるが、相当、自分で銘柄の選択にこだわった銘柄とか、信頼できる人から強く勧められた銘柄となれば、少しぐらい下落しても売却することはしないだろう。そういう場合にははじめから株数を多く買うために、なおさら、すぐには売却できない。そのため、株価が下落傾向に入ったにもかかわらず、トコトン追いかけてナンピンの回数も3回は愚か、5回、時にはそれ以上も仕掛けることもする。資金も当初の投資資金を使いきり、更に、貯金を下ろしても追撃する。そうなれば、何もみえなくなり、気がついたときには資金も尽きても株価はあざ笑うように更に、下落を続け、最後のナンピン価格よりも2割も3割も下でようやく止まる。そして、チャートをみれば見事な下落相場だったことを初めて知る。そうなれば、処分することも叶わず、結果的に塩漬け状態で泣くことになる。

どんなに自信のある銘柄でも心を鬼にしてトータルで3回以上のナンピンは絶対に避けること。そして、初回の買いも思い切った株数を買ってはならない。百歩譲っても資金の半分以下で初回の買いは止めることが望ましい。3回目のナンピンをかけた後には損切りする水準を必ず設定し、どんなことがあってもそこに到達すると問答無用の損切りを敢行すること。

筆者もそれは非常によく理解していながらなまじ銘柄の分析に自信があるが故に、ついつい下落して損切り価格を設定しても切れないことがある。投資家諸氏にそれを絶対に守れといっても100%できる方は達人であろう。しかし、それがどれだけ大切なものかを知ってほしい。銘柄選択よりもはるかに重要な投資行動なのである。

かつて、1999年にIT(情報通信)の大相場があった。その時に大きく化けた銘柄の中に光通信という銘柄があった。99年の1万円そこそこの株価が2000年2月には24万1000円の高値までつけた。その天井をつける前に買った投資家はものすごく大きな成果を挙げたのだが、儲けた投資家ほどその高値の後の下落場面ではもっと買おうとか、一旦、利食った後、チャンスとばかりその場面を狙う。もしも、下落に転じて20万円を割り込んだところを100株買ったとすれば、2000万円の資金が必要になる。個人投資家にすれば大変な金額である。その株価が3月にかけて急落することになる。アッという間に10万円を割り込むのだが、そこで売却よりもナンピンをかけた投資家がかなりみられた。20万円の半値になったのだから買いチャンスと思い込むのは無理からぬ判断ではあるが、その後も株価は戻ることもなく、5月には1万円を切るところまで暴落。下落傾向は止まらず、2002年の7月には895円の安値をつけてようやく底を入れる。実に、99.6%の下落率になる。ナンピンをかける資金のある人でも10万円を割るところでの資金は続かなかっただろう。この場合、99年からわずか1年の間に株価が20倍以上に買われたことを重視して1~3割下落は損切りという設定をして投げるべきで、18~14万円が損切りの分岐点になったはずだ。

こういうケースはめったにないのだが、ナンピン、損切りという場合には常に、処分する場合の株価水準を厳格に守らないと取り返しのつかない事態になることを知る上では強烈な光通信の例は大きな教訓となった。

ナンピンで成果を挙げられるか、損切りで処分するかというのは上昇局面か下降局面かの判断を見極めることが大事。損切りの姿勢のときに指摘したように「しまった」と思ったならば手仕舞え、の判断が結果的に重要になってくる。

③ 迷えば売れ

 投資家というよりも人間、自信のない時の決断は散々迷って、結果はたいがい良くない。買い物に行った時でも、あれも良い、これも良いといろいろ物色したあげく、店員の一言で乗せられて決めた商品はウチに帰ってまじまじみるとたいしたものではなく、「やっぱりあれが良かった」と初めにみた商品が一番良かった、などと後悔する経験があるだろう。

 株式投資も同じ。特に、二連敗とか、三連敗のように投資成果が続けて悪いときには、次の銘柄は失敗できないという強迫観念が強まるために、迷いに迷う。取り返さなくてはという意識が強くなるためだが、そういう場合には、「ダメでもともと」と軽い気持ちで挑戦してみることだ。ただし、株数をいつもよりも半分とか、三分の一とか

目標の株価も1割や2割の幅ではなくて、「5%程度でいいや」などとハードルを低く設定する。または、自分の好みの業種や銘柄とは全く違う銘柄や業種に挑戦してみる。もちろん、株数や目標も低くすることだ。要するに、負け癖を断ち切ることが目的の投資にする。それでも、迷う場合にはしばらく、投資を休むか、仮想売買などで遊んでみる。リズムが戻ってくれば、改めて挑戦する。

 買うだけでなく、売る時も迷う。買うよりも売りの方が通常迷うものだ。筆者は常に、売る場合でも目標をしっかり設定して、そこまでくれば、迷わず売れと口をすっぱくして言い続けている。もちろん、目標まで到達すれば厳格にその株価で売却することはいうまでもない。しかし、目標までにいくまでに、「どうも嫌な動きをしており、どうしようか」と考え込む時がある。そういう場合にも、迷わず売ってしまうことだ。

 株式投資に限らず世の中、自分の思い通りに行くことは少なく、うまくいかない方が多い。株式投資もまったく同じで目標どおりに常に、動くことは少ない。すべて思い通りならば、株式投資だけで生活が成り立ってしまう。何が何でも目標にこだわったり、銘柄にほれ込み目標を見失うことはロクな結果を招かない。たまに、結果オーライなどということもあるが、それは期待しないことだ。それよりも、「どうも動きがおかしい」と感じると即刻行動することが自分の身を守る最善の方法だということを知っておくことだ。冷静さを保ち、いわゆる、「しまったら仕舞え」の精神である。実戦する上で決して忘れないでほしい。「しまったら仕舞え」という言葉を常に、復唱しながら投資に向かってほしい。